大穴のはずが有力候補、トランプ旋風の行方 正直な暴言家が支持される理由とは?

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このことが何を意味しているのかというと、要するに、選挙というシステムが、「得点法」(支持の票数だけをカウントし、不支持の声は無視される)で運営される限りにおいて、トランプ氏のような「正直な暴言家」は、必ずや一定の票数を集めるということだ。

トランプ氏の独走は、対岸の火事ではない。フランスでル・ペン氏率いるところの極右勢力が大幅に勢力を伸ばしたことを見てもわかる通り、社会の空気が荒れると、どこの国でも「不謹慎な本音」を恐れることなく語る「率直な排外主義者」や「思い切りの良い差別主義者」が人気を集めることになる。理想論としての人権主義や平和思想は、ちょっとでも血なまぐさい事件が起こると、またたく間に支持を失う。そういうものなのだ。

大統領の座におさまるかも

この先、民主党の大統領指名候補に選出されるはずのヒラリーさんが、ヤバ目のスキャンダルに巻き込まれたりしたら、トランプ氏がこのままズルズルと大統領の座におさまる可能性も十分にあり得る。

そういう事態が起こっている近未来では、うちの国とて憲法改正派の議席数が3分の2を超えていないとも限らないわけで、してみると、どっちにしても、トランプ賭博の結果は、誰にも予測不能なのであろうし、してみると、困惑した選挙民は、切り札の登場を待望するわけなのだが、場が荒れている以上、エースはジョーカーに勝てない。

うん。笑えない結末だ。

小田嶋 隆(おだじま たかし)/1956年生まれ。東京都出身。早稲田大学を卒業後、食品メーカーに入社。退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなる。現在はコラムニストとして活躍中。著書に『「踊り場」日本論』(晶文社)などがある

 

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