ぶつかり合うメンツ 新生、あおぞら交渉難航

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戦略に大きな違い 見えない着地点

一方、目指してきた戦略の違いから軋轢が生じる可能性もある。リテール(個人部門)への取り組みだ。新生は八城政基社長が、インターネットや提携ATMなどのITを活用し、個人の顧客基盤を広げて預金を集め、住宅ローンにも進出している。仕組み預金や投資信託などの運用商品も提供している。だが、あおぞらは、自身で直接リテール業務を行わず、金融債で築いてきた地銀との関係を生かし、もっぱら商品の供給者に徹する方針で来た。一からリテールに取り組むには負荷が大きく、地銀とバッティングするのは得策ではない、という考え方である。

ただ関係者によると、これまでの交渉で、事業戦略のすり合わせなどは二の次。とにかく双方がメンツを張り合い、銀行名や本店所在地といった“陣取り合戦”で火花を散らしていた。こうした中、統合比率については1対1とすることで、一応の決着を見ているという。統合後のトップの座は、カリスマ性もあり、市場での評価も高い八城社長とすることを新生側は強く主張したが、まとまらないまま外部からの招聘案も浮上してきた。

金融庁の強い“意向”に従うことで、追加的な公的資金注入の期待もあったが、民主党に政権交代すれば注入の可能性も低くなると見られる。「資本面で苦しく、統合を焦っているのは新生側のはず。昔の三男坊の位置づけでのみ込まれるのではたまらない」(あおぞら銀行関係者)という声も漏れる。つばぜり合いの絶えない交渉は、その帰趨が定まるまでに、なお時間がかかりそうだ。

(大崎明子 =週刊東洋経済)

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