「地方創生」はディズニーの仕掛け人に聞け!

人を集める「HAPPINESS」12の要件

では「HAPPINESS」とは何か。堀は、オリエンタルランド社に着任後、同社が千葉県と開発の約束をしたプレイランド・ゾーン(のちに東京ディズニーランドとなる場所)にどんな遊園地を作ったらよいのか、さまざまな独自の企画、考えうる遊園地の企画はすべて網羅して研究した。

しかし、それらの企画の中には納得でき、採算がとれると信じることのできるものはひとつもなかった。そこで、さらに日本全国の遊園地はもとより世界中の遊園地を視察し、研究をした。その最中、堀は、遊園地のよしあしを判断する軸をまとめた。それが「HAPPINESSを感じる12要件」だ。これが、東京ディズニーランド誘致の際の総合計画に生かされていくのである。今回はそのうち、最初の3要件 を紹介する。

人間として本能的な「3要件」

① 個体維持本能を満足させるもの=「食」

人間の行動は、すべてHAPPINESSの追及のためにある。そのいちばんの基本にあるのが、まず、自分自身が生きていくこと、すなわち個体を維持保存しようとする本能に関わるものである。

具体的には、食である。東京はおいしいものが多種多様に集まる都会だが、地方でも人気のある町というのは、おいしい料理がある。京都へ旅行する人々の動機には、もちろん、すばらしい寺院や仏像、庭園を見たいというのもあるが、伝統を感じさせるおいしい料理が食べられると言うことも大きい理由だろう。

おいしいもの、めずらしいものをお腹一杯食べるということは、人間のHAPPINESSの原点である、と堀はよく話していた。SNSを含む多くのメディアに食の情報があふれているのも、いちばん手軽で身近にHAPPINESSを感じられるからだろう。

肉フェス(第1回)の様子。筆者撮影

食について、筆者が2015年に印象に残ったのは、「肉フェス(主催:FoodNations 実行委員会)」である。2014年に始まった肉フェスは、第1回目(春開催)の駒沢オリンピック公園で約29万人、2回目(秋開催)となる国営昭和記念公園では約42万人を動員。2015年の3回目(春開催)には、駒沢・幕張・横須賀の3会場で約94万人を動員し、国内最大級のフードイベントとなった。

イベント運営の巧みさもあったと思うが、これだけ桁違いの人を集めることに成功したのは、人々には根源的に食への強い欲求があるからであるといって過言でないと思う。

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