ボージョレ商戦の起爆剤となるか、メルシャンがPETボトル入りボージョレ投入へ
キリンホールディングス傘下でワイン大手のメルシャンは、今年秋の「ボージョレ・ヌーヴォー」商戦の起爆剤として、PETボトル入りのワインを投入する。一時の熱狂的なブームが去りボージョレ市場規模の縮小が止まらない中、容器や価格帯などを多様化することで需要喚起を図る考えだ。
ボージョレ解禁後の11月19日にPETボトルを投入するのは、メルシャンが輸入する仏アルベール・ビジョー社のワインの一部。従来から他社ではPET入りのワインを投入していたが、メルシャンは、より頑丈な3層構造のPETを採用。光を通しにくいため品質も劣化しにくいだけでなく、瓶より軽量かつリサイクル可能、という環境負荷の少ない点もアピールしていく。店頭価格も瓶からPETボトルに変えることに加え、ユーロ安の影響から「昨年より10~15%程度下がる見込み」(ワイン営業本部長の和田修氏)で、2400円前後となる公算だ。
同社はこのほかにも、ワインを題材にした人気漫画「神の雫」の特性ラベルを施したタイプや、ワインを濾過せず瓶詰めした「ノンフィルター」タイプなども投入する。
ボージョレ市場は2004年の104万ケースをピークに年々市場が縮小。景気悪化の影響もあって08年には前年比19%減の56万ケースまで落ち込んだが、今年もその傾向は止まらず同20%減の45万ケースと04年の半分以下にまで縮む見込みだ。一方でボージョレシーズンは、ワインへの関心が高まる大きな商戦期。何もしないままでは、さらなる市場縮小も免れないだけに、「あの手この手」でなんとかワイン需要を盛り上げたい考えだ。
消費者の節約志向はワイン市場にも及び、数百円程度のいわゆる「テーブルワイン」が予想以上に売れている。その一方で1000円以上の輸入ワインが業務用中心に苦戦している。メルシャンでも4、5月は数量自体は前年比3%増で推移しているものの、基本的には市場傾向と同様の売れ方となっている。ボージョレも需要減が直撃している輸入ワインだけに、今年の商戦もかなり厳しくなると予想される。
「会社四季報」夏号は、輸入ワインの苦戦などを理由にメルシャンの今2009年12月期予想を会社計画より若干下げている。「東洋経済オンライン」は、状況を見ながら随時予想を見直していく。
(倉沢 美左)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.12 92,743 670 585 162
連本2009.12予 89,000 2,000 1,900 860
連本2010.12予 90,000 2,100 2,000 900
連中2008.06 43,512 -322 -331 -276
連中2009.06予 40,000 -300 -400 -400
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.12 1.2 5
連本2009.12予 6.5 5
連本2010.12予 6.8 5
連中2008.06 -2.1 0
連中2009.06予 -3.0 0
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