主要私大13校最新決算、大学の資産運用が転機に、評価損計上が続出! 

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日本大と明治大は無傷 運用方針の差で明暗

一方、有価証券が含み益となったのは2大学にとどまった。総資産、運用規模とも国内最大の日本大は、現預金と有価証券合計で約2800億円もあるが、運用らしい資産は国債や社債などの債券約870億円のみで、仕組み債の保有はゼロ。残りは「学部ごとに大手4銀行の定期預金で運用している」(中庭敏・常務理事)。

2億円近い含み益を計上した明治大も、約650億円の金融資産のうち4割強は社債や国債、地方債などの債券で運用。残りは大手3銀行を中心とした定期預金に預けている。「今後5~6年は施設の建設計画が目白押しで、資金計画に合わせた元本確実な運用が基本」(小林喜男・財務部長)としている。

大学ごとに運用方針は異なるが、こうした姿勢の差が明暗を分けたと言える。損失計上を機に、今後は運用体制の見直しやポートフォリオを安定資産に切り替える動きも始まっている。慶應大はオルタナティブ投資の一時撤退や仕組み債購入を今後見合わせることを考えているという。為替連動債を中心に含み損を抱える青山学院大でも「公共債など、安全資産のウエートを速やかに高めていきたい」(杉山佐壽・常務理事)。全国の大学の中には、運用委員会などの体制は整っていても、商品購入を実質的に決めるのは現場の担当者だというケースもあり、今後は運用体制の整備も求められる。

6月17日時点で、08年度決算を公開している私立大は、ここに挙げた13大学以外ではまだ少ない。13大学並みの規模で資産運用を行っている私立大も全国にはいくつか存在しており、基本的な財務情報の速やかな公開も求められている。

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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