【産業天気図・造船・重機】「曇り空の閉塞感。後半の回復に期待をかけるがなお晴れ間は見えない

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  09年4月~9月   09年10月~10年3月
 

造船・重機械業界はなお「曇り空」の閉塞感の中にある。後半の回復に期待をかけるが、なお晴れ間は見えない。

造船業界ではリーマンショック以前は空前の活況にあった。それが昨年9月頃から商談が止まっただけでなく、キャンセルや納期繰り延べなどが続出。韓国などの新興造船所などは倒産の危機にさらされた。いまなお一般商船の新規商談は皆無という。現状では各社とも3、4年の受注残を抱えているが、数年後には枯渇する。新規商談が盛り返してきても、中韓勢とのし烈な価格競争が予想され、先行きは楽観できない。省エネ、環境対応でよほどの差別化が可能な技術力がないと、日本の造船会社には厳しい時代が待っている。
 
 重機械分野でも、自動車、電機を中心に設備投資関連は停滞している。たとえば変減速機や射出成形機を得意とする住友重機械<6302>の今10年3月期の営業利益は前期の4分の1の140億円に急落する見通しだ。各社とも、受注生産の部門は受注残の消化で収益を支えられるが、見込み生産の中量産品部門が足を引いている。三菱重工業<7011>では自動車向け過給器(ターボチャージャー)やフォークリフトなど、川崎重工業<7012>では大型二輪などが大幅に落ち込む見通し。そのため各社とも、期間従業員の削減、また量産品部門の社員の受注品へのシフトなどによるコスト削減を急いでいる。
 
 プラント会社では、低迷していた原油価格の反転や、鋼材価格の下落などを受け、中東などで延期・凍結されていた案件が動き出すことが期待される。ただし、円高を受けて日本企業は欧州、韓国勢とのコスト競争上不利な局面だ。そのため、日揮<1963>、千代田化工建設<6366>、東洋エンジニアリング<6330>などエンジニアリング大手ではいずれも中東やアジアの現地法人の設計能力を高め、小規模な案件は現地法人に任せる体制を構築し、価格競争力を高める考えだ。

(西村 豪太)

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