要は「必要以上に現金を持つな」ということだ プロ3人がマイナス金利の世界を徹底解説

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中野:倒錯した世界ですよ。資産運用の世界では、金利のボトムは0%というのが常識でしたが、それをあっさりと超えて異次元の世界に行ってしまいました。混乱するのは当然ですよ。

渋澤:これ、究極の財政再建策ですね!(笑)国は大量の国債を発行して多額の借金を抱えているわけでしょ。これまで国債費という勘定項目で、発行した債券の利払い費用を計上していたわけですが、マイナス金利が進んだら、むしろ借金をそのまま放置した方が、逆に利息を受け取れることになりますから、おトクということになります。確かに、倒錯している。

「補完当座預金制度」は既得権か

中野:でも、ロジカルに考えれば、長期金利がマイナスになる一方、株式の配当利回りは2%弱あるわけですよね。当面、長期金利のマイナスが続くとしたら、やがて配当利回り狙いで株式投資をした方が有利ということに気付くでしょう。貸出が増えなかったとしても、株式市場に流れる資金の量は増えるはずです。

また、金利がマイナスになるような、馬鹿げた国の通貨は持ちたくないと市場関係者が判断すれば、円は売られます。日銀がマイナス金利の導入を発表した翌日までは、その方向に進むかと思ったのですが、2月以降は全く逆方向に動き始めました。ここは想定外でしたね。

渋澤:外国人投資家は、「お!日本もついにマイナス金利か」と思ったからこそ、日本株を買って円を売ったわけですが、内容をよく見るうちに、「な~んだ」ってことになったみたいですね。銀行への配慮。日銀の当座預金残高は、2015年12月末時点で253兆円。このうち98.2兆円が、メガバンク4行の準備預金残高で、そのなかに含まれる法定準備預金が3.8兆円。それ以外の94.4兆円は超過準備額といって、2008年のリーマンショック後に「補完当座預金制度」というものができ、ここに0.1%の利息を付けるという制度が出来たのです。

よく考えてみて下さい。余っているおカネに対して0.1%の金利を付けているのですよ。預金が年0.02%の利息だったとしても、この当座預金に預けるだけで、差し引きで0.08%の利ザヤを抜くことが出来るのですから、4行で755億円の利益という単純計算になります。いくら日銀が量的金融緩和をせっせと行ったとしても、銀行が経済を活性化させるために、そのおカネをどんどん社会に回そうなどとするはずがない。当座預金に放り込んでおしまいです。

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