暗かった空の色が明るくなり、地平線がだんだんと赤く染まってきた。しかし同時にどこからきたのか雲も地平線あたりに広がっている。なんとなく北風と太陽の寓話を思い出しながら、太陽がんばれ、がんばれ、と心の中で応援する。
願いが通じたのか、地平線に立ち込めた雲の向こうから、ピカーっと光が差し込んできた。
「おおおおお……!!」海岸にいた人達がいっせいに叫んだ。筋だった光がまとまり、ついに赤く丸い初日の出が顔を出した。なんと神々しいのだろう。雲を下に配し、グングンと上っていく初日の出をしばらく眺めていた。
分厚い雲に覆われた年も……
天候次第では初日の出が見られないこともある。翌2012年に乗ったのは「特急 犬吠初日の出 5号」銚子行き。こちらはE257系車両で電光掲示板に「特急 犬吠 初日の出」と掲示されている。
銚子駅で銚子電気鉄道に接続し、犬吠埼まで行くのだ。乗り換えの際、銚子ダッシュ(という言葉があるかわからないが)と言えるくらいの勢いで、JRの乗客全員が銚子電鉄の車両に殺到。満員の銚子電鉄を体験したのは初めてだった。
犬吠埼は富士山などの高い山や離島を除き、日本で一番早く初日の出を見られるスポットだそう。これは期待できる!と思っていたのだが、なんと空はどんよりとした雲が立ち込めている。
分厚い雲はビクともせず。とうとう見ることはできなかった。こんな年もあるのか…とガッカリ。「初日の出ロス」でテンションが上がらぬまま帰途についた。
ほぼ同じ場所であっても、初日の出が見られたり見られなかったりということがある。2015年は勝田駅からひたちなか海浜鉄道の初日の出列車に乗車した。車内では、吉田社長が新年のあいさつをしてくださり、おみやげをもらった。内容はホカロンや干し芋など。ありがたい。さっそく使う。
終点の阿字ヶ浦駅から海辺まで行く途中の神社で、温かい甘酒などをいただいたせいか、待つ間もいつもほどの寒さを感じずにすんだ。
ほどなくして初日の出がお目見え。まぶしい。寝ていなかったせいもあり、目に光が突き刺さる。出てくれてありがたい、と手を合わせ拝んだ。
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