『マルクスは生きている』を書いた不破哲三氏(日本共産党付属社会科学研究所所長)に聞く

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--弁証法によって認識し、考えたわけですね。

弁証法を一口で言うのはなかなか難しいが、あえて簡単にいえば、物事を、素直にありのままに見る見方、あるがままにとらえる方法。マルクスはその達人だった。

自然と社会のすべての現象を、絶え間ない変化と運動、なかでも前進的な発展の流れの中でとらえる。そこに無理な理屈を入れて、切り分けしたりしない。

マルクスは、『資本論』が終わったら弁証法の教科書を書きたいと思ったようだが、かなわなかった。

--『資本論』の社会観、歴史観においては、日本についての記述に詳しい。

もうだいぶ前、「千島の問題」を国会で取り上げた際に、幕末に日本に来た外国人の訪問記を片っ端から読み、幕末史を徹底的に調べた。初代英国公使のラザフォード・オールコックが書いた『大君の都』を読んで気づいた。江戸のことを実に詳細に記述し、しかも『資本論』での著述がすべて出てくる。

マルクスはある瞬間から日本について詳しくなる。エンゲルスとの手紙で間違った情報を交換し合ったりしていたが、『資本論』の第1巻改訂後に詳しくなる。旅行記を読んだという手紙もある。『大君の都』と『資本論』との関係はだれも気がつかなかったようだが、ほぼ間違いない。

たとえば『資本論』の中で、ヨーロッパの中世を知りたい人は日本に行ってみよ、ヨーロッパの歴史の本よりもよほどわかると書いてある。そこまで断言できるには相当知らなければできない。『大君の都』に、オールコックがまるで日本はヨーロッパ中世そのもの、農民の搾り方も封建的な家臣の配列の仕方もそうだと書く。

これは不思議な話だ。ヨーロッパの封建制は、共産制を残していた部族制度のゲルマンとローマ文化が合流してできたもの。日本はそんな歴史なしに源平から南北朝、室町、戦国と、時間はかかっているが、全然違った道をたどっている。しかし、できた江戸の封建制はイギリスの公使からヨーロッパ中世と同じと見えるのだから、社会発展の法則はおもしろい。

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