半導体材料市場、底入れだが懸念要因も、楽観は禁物


 昨秋以降、急激な需要減に見舞われた半導体材料市場にも、底入れの兆しが見え始めている。生産動態統計速報によると、3月のシリコンウエハの生産量は前年同月比58・5%減ながら、前月比は27・8%増の11万6086平方メートルと、2カ月連続の増加となった。

半導体デバイスの基板となるシリコンウエハは、これまで半導体メーカーの減産に伴い長期の在庫調整を強いられてきた。大手メーカーからは「2月を境に需要は増加に転じた。まずは“中二階”に向かう新たなステージ」(重松健二郎・SUMCO社長)、「韓国サムソン、ハイニックス向けの動きが良い。3、4月と順調に受注は増えている」(金川千尋・信越化学工業社長)と、ようやく明るい声が聞かれ始めた。

シリコンウエハは半導体材料の中でも、パソコンや携帯電話など、デバイスの性能を支える主要材料。そのため高シェアを誇る大手2社(信越化学工業とSUMCOで世界シェア約75%を二分)の業績は、半導体材料市場の状況を反映していそうだが、両社の場合、明暗が分かれた。

世界の化学メーカーの中でも時価総額6位に位置する信越化学工業は、半導体大不況下でも、最悪期にあたる2009年1~3月期に黒字を確保した。一方、ライバルのSUMCOは2~4月期(同社は1月決算)に営業損失が400億円程度にまで拡大したもようで、四半期ベースでの黒字化も来年以降に持ち越されそうだ。

信越化学が収益面で優位性を発揮している背景には、ウエハ製造装置の減価償却期間短縮と、顧客との長期契約がある。同社は06年3月期から、通常5年間の製造装置の償却年数を3年に短縮。半導体市場の好調はいつまでも続かないとの認識からで、好況期にこうしたコスト負担を前倒しするなどの対策を講じてきた。また、長年の信頼関係から顧客と長期で取引を行っている点も奏功した。

一方、SUMCOの場合、今10年1月期の償却負担は前期比52億円増の950億円と依然高水準。契約期間も、信越との比較では短期が多かったと推測される。

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