半導体材料市場、底入れだが懸念要因も、楽観は禁物
市場底入れでも 価格面では逆風
ただ、信越化学といえども今期の見通しは楽観できず、「先の需要がまったく読めない」(金川社長)と、業績予想は非開示とした。同じ半導体材料メーカーで、封止剤首位の住友ベークライトも「足元の需要増は、中国の景気刺激策による一時的なもの。追加刺激がなければすぐにしおれてしまう」(小川富太郎社長)という見方だ。需要が再び悪化する二番底に陥った場合には、再び在庫が積み上がるという危険性も抱えている。
また、材料メーカーにとっては価格面で逆風が吹いている。フォトレジスト首位級、JSRの小柴満信社長は「アジアメーカーの参入で材料製品の汎用化が進展。ユーザー側の合従連衡も進み、価格低下圧力は一段と厳しいものになっている」と不安をのぞかせる。
JPモルガンでは、300ミリウエハ価格は10年1月期の上期が前年同期比マイナス25%、下期がマイナス14%、通期ではマイナス20%と想定する。供給不足懸念がない中での需要拡大は価格競争を誘発しやすいとの見方もあり、採算性の向上は来期以降に持ち越しとなりそうだ。
(二階堂遼馬 =オール投資)
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