「フリーゲージ車」は新幹線以外にも使える!

トラブル発生の原因究明し、開発継続を

2カ月3万kmで中断した「耐久走行試験」は、実際は2年半をかけて60万kmを走破する予定だったから、仮に不具合箇所の改良に成功して2017年1月に試験を再開できたとして、最短での「合格」は2019年後半となる。そこから量産モデルの設計・製造となると2022年の「長崎~武雄温泉」間の工事完成にはまず間に合わないだろう。

こうした状況を受けて「西九州ルート」については「フリーゲージによる2022年開業」は事実上不可能という声が上がりつつある。一方で、敦賀延伸後の北陸新幹線を京阪神と結ぶ構想に関しても、一時期は「フリーゲージで」という選択肢が真剣に話題に上っていたが、今回のトラブルを受ける形で、現在は「敦賀~小浜~京都~(東海道とは別線で)~新大阪~関空(?)」というルートを「JR西日本のフル規格新幹線」として整備する構想が浮上している。

どんなトラブルだったのか

ところで、今回の耐久走行試験で発生した不具合とは一体どんなトラブルだったのだろうか? 報告されている問題は、具体的に2点ある。

(1)スラスト軸受のオイルシールの部分的な欠損
(2)すべり軸受と車軸の接触部に微細な摩耗が発生

というのが発表された内容だ。

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軌間変換機構を備えたフリーゲージトレインの台車

まず(1)だが、一般的には「ベアリング」と言われる「ころがり」による摩擦低減を図る機構を潤滑油とともに密閉する「フタ」が一部欠けていたということだ。新幹線で高速運転をしている中で、潤滑油とベアリングのフタが欠けたというと、大変なダメージがある。

だが、潤滑油が切れてベアリングや歯車が油切れを起こすと、残った油が高温となって発煙したり、最悪の場合は焼き付きを起こす可能性があるのだが、今回は発煙現象は確認できなかったし、ベアリングの油切れも報告されていない。

ということは、多重構造になっていたオイルシールの一つが欠損しただけという可能性、あるいは欠損が微小であった可能性が想定できる。ちなみに「スラスト軸受」というのは、回転方向だけではなく軸方向の力も受け止めるもので「フリーゲージ」ならではの軸のヨコ伸縮に関わる部品だが、この箇所がヨコに可動するのは軌間変換時だけであり、高回転の負荷がかかる走行時にはヨコ方向はロックされている。

ということは、今回の問題は世界中で使用されている「ベアリング」に付随した「オイルシール」における欠損の問題というカテゴリから外れるものではない。材質や形状を詰めていけば問題解決に難航することはないと考えていいだろう。

次ページ「コア技術」ではあるものの…
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