新型インフル流行で顕在化、ワクチン増産の難題

H5N1型に感染した人の致死率は6割に達する。これが人から人へ効率よく感染する「ヒト型」に変異してパンデミックを引き起こせば、社会的、経済的影響は計り知れない。現状、H5N1型の感染は、養鶏業者など鳥と濃厚接触をする人に限られる。しかし、これに豚が介在すると事態は変わる。人間の体内環境によく似た豚の体内で、ヒト型のウイルスに変異する可能性があるのだ。今回のH1N1型も、過去のパンデミックも、鳥インフルの弱毒株に由来する。

神戸大感染症センターの調査では、H5N1型がインドネシアの豚に広がり、ヒト型に変異しつつあることがわかっている。インドネシアはH5N1型の感染者・死亡者が最も多い地域。05~07年に調べた豚402頭中、52頭にH5N1型ウイルスが検出され、うち1頭では、ある程度人に感染しやすい性質を持つヒト型に部分的に変異していたという。

研究を支援する理化学研究所感染症研究ネットワーク支援センターの永井美之センター長は、「豚を舞台にヒト型のH5N1型が誕生する状況が整えられつつあるように思われ、十分な警戒が必要」と指摘する。新たな脅威は刻一刻と近づく。国は豚インフルの問題を、場当たり的に対処するだけではすまされない。

(前野裕香、前田佳子 =週刊東洋経済)
(image:CDC)

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