天皇はなぜ生き残ったか 本郷和人著
平家の台頭から明治維新まで、実質的な権力は武家に奪われていた天皇家。にもかかわらず、生き延びた理由は何だったのか。中世政治史の専門家である著者が“天皇の本質”を明らかにする。
著者が主張するのは「情報と文化」の王たる天皇である。武士たちは、貴族社会の政治制度を吸収していく過程で、その情報を天皇から引き出した。さらに武士は、貴族の持つ伝統や教養、学識を羨んでいた。武家典礼の整備や、秀吉が関白になったりしたのはその表れだと判定する。
世の中が荒廃した戦国時代などは特に、京都の格式や幽玄さが、為政者には必要だったという。このアンビバレントさが天皇を生き残らせたと説く。
新潮新書 756円
ブックマーク
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事