私が見た、「韓国歴史ドラマ」の舞台と今 蓮池薫著 ~語られる北朝鮮と韓国の歴史的、文化的背景の違い

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私が見た、「韓国歴史ドラマ」の舞台と今 蓮池薫著 ~語られる北朝鮮と韓国の歴史的、文化的背景の違い

評者 映画監督 仲倉重郎

 著者は、1978年に北朝鮮に拉致され、彼の地で24年過ごし、2002年に帰国した。現在はその体験を生かして翻訳や大学講師として活動している。
 
 本書は、韓国で高視聴率を誇り日本でも大人気だった二つの歴史ドラマ、「太王四神記」と「朱蒙(チュモン)」を通して、北朝鮮と韓国の歴史的、文化的、精神的背景の違いを語ろうとする。その目は冷静で、北朝鮮の優れた案内書にもなっている。
 
 「太王四神記」は、4世紀の高句麗中興の祖第19代広開土王の物語であり、「朱蒙」は、紀元前38年に建国された高句麗の始祖東明聖王の物語である。ともに1時間の連続テレビドラマで、「太王四神記」は24回、「朱蒙」は81回という大作である。極彩色の衣装、紫宸殿を思わせる大宮殿、緑なす広野を舞台に、騎馬民族ならではのスケールの大きい歴史大活劇が展開する。
 
 北朝鮮では、高句麗は民族統一を成し遂げた最初の国、新羅は背信の国である。一方の韓国では、新羅は三国統一を成し遂げた国であり、韓国の正当性の根拠である。だが最近では、高句麗は民族的自負心を高めてくれたという北朝鮮的考え方が広まりつつあるという。韓国で高句麗ブームに火がついたのは中国のせいである。
 
 朱蒙は父の遺志を受け継いで「打倒漢」を掲げて戦うのだが、驚くほど「漢」への強い憎悪が描かれている。「漢」に対してこんなに怨念を抱いていたとは驚かされる。02年に中国が高句麗は中国の一部だったという公式見解を発表した影響が大きい。高句麗の遺跡は中国にもあり、所有権争いがきわめて政治的な問題になっている。
 
 その高句麗遺跡の見聞記がまた面白い。本書をガイドとして、もう一度二つのドラマを見直したらいかがか。楽しみが深まるに違いない。

はすいけ・かおる
翻訳家。新潟産業大学国際センター特任講師。新潟県出身。中央大学法学部在学中の1978年に拉致され、以降24年北朝鮮での生活を強いられる。2002年の帰国後、翻訳を多数手掛ける。

講談社 1500円 191ページ

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