ドン・キホーテ流改革、不振スーパーから再生した「メガドンキ」
「他店圧倒価格」「競合店より値下げしました!」。店内は近隣のスーパーやディスカウント店との価格差を強調するのぼりであふれている。この店はわずか1年前、競合に屈し赤字にあえいでいた。
2008年6月に開業した「MEGAドン・キホーテ」(以下、メガドンキ)四街道店。メガドンキはディスカウントストア大手、ドン・キホーテの新業態だ。全国19店舗(5月現在)の売り上げは前期比で平均2・5倍。店舗の大半は、07年10月に買収した老舗総合スーパー(GMS)、長崎屋を業態転換したものだ。大手GMSの苦戦が続く中、不況を逆手に売り上げを伸ばしている。
ノウハウを結集したハイブリッド店舗
業績不振だった長崎屋を買収した当時、ドンキは大型店改革に明確な構想を持ち合わせていなかった。ドンキは売り場面積300~500坪が主戦場。迷路のような売り場に商品を詰め込む「圧縮陳列」など、ユニークな売り場作りで知られる。だが、長崎屋は売り場面積が2000坪を超え、ドンキにとって未経験の広さ。客層も高齢者が中心と、若者が軸のドンキとは懸け離れていた。
新プロジェクトの指揮を執ったのは、新規事業推進室から長崎屋に転じた関口憲司副社長。構想を練るため、安田隆夫ドンキ会長とともに関東の全店舗を視察。そこで目にしたのは、客に「売り込む」姿勢を失った売り場だった。従来の延長で改善は難しい。「面積を生かしたディスカウント業態なら、新規客を取り込めるかもしれない」。関口副社長はそう仮説を立てた。
関口副社長が1号店として白羽の矢を立てたのが、千葉県の四街道店。同店は長崎屋最大の年3億円の赤字を出しており、撤退も検討されていたが、関口副社長は「四街道で確立できればどこでも成功する」と、あえて悪条件の店を選択した。