自動車業界、急ブレーキ後はしばらく徐行運転が続く《スタンダード&プアーズの業界展望》

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小林修
薩川千鶴子

 世界の主要な自動車市場の悪化を背景に、日本の自動車業界の信用力見通しは少なくとも2009年末までネガティブにとどまるとスタンダード&プアーズはみている。日本の自動車メーカーの生産調整はほぼ峠を越えて増産に転じつつあると現時点ではみているが、世界需要の急回復が見込めないなか、しばらくは「徐行運転」を余儀なくされよう。一部の日本の自動車メーカーについては、フリーキャッシュフローが改善に向かい、一段の財務基盤の悪化を避けられると想定しているが、業界全体としては厳しい収益状況が続くとみている。厳しい事業環境が長期間にわたって続くことになれば、各社の格付けに対する下方圧力が増しかねない。このような環境下で格付け水準を維持するためには、各社のキャッシュフロー管理がより重要になると考えている。

需要低迷に円高の追い討ち
 日本の自動車メーカー各社の2009年3月期決算の発表が始まったが、軒並み大幅な減益となっており、多くが過去最高益を達成した1年前とは様変わりしている。世界的な自動車需要の減退は、特に北米、欧州、日本といった先進国市場において深刻で、これに急激な円高が追い討ちをかけた。日本の自動車メーカーは、燃費効率に優れた小型車の幅広いラインアップやハイブリッド車での高い競争力、地理的分散度の高さ、そしてコスト効率の高さなどを強みに、事業環境悪化の影響をある程度緩和してきたものの、世界的な自動車需要の減退と一部地域での在庫膨張により、2009年3月期下半期は大幅な生産調整を余儀なくされた。収益の低迷は少なくとも2010年3月期まで続くとスタンダード&プアーズはみている。

世界の主要市場の低迷は当面続く
 軽自動車を含む2008年(暦年ベース)の国内新車販売台数は508万台と、前年から5.1%減少した。軽自動車の販売台数の減少が2.6%にとどまる一方、登録車の販売台数は321万台と6.5%減少した。登録車販売の減少ペースは2008年10月以降加速し、11月は前年同月比27.3%減、12月は同22.3%減少した。このような厳しい販売状況が続くなかで、2008年の年間販売上位モデルは軽自動車と小型車が占める結果となった。2009年の見通しとしては、軽自動車を含む新車販売台数が2008年から10%以上減少し、小型車と軽自動車への需要シフトが継続するとスタンダード&プアーズは現時点で予想する。

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