どうなる?カップヌードルの肉変更/あっぱれ!森永製菓の顧客志向と社会志向のマーケティング/時代は細マッチョ?サントリーの戦略を読み解く《それゆけ!カナモリさん》

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■社会の声にも耳を傾ける

 昨今では企業の社会的責任が求められ、マーケティングも顧客志向であるだけでなく、社会志向が求められるようになってきた。森永製菓はそれにもバッチリ対応した取り組みをしている。

日経BizPlusの記事「森永製菓、賞味期限近い菓子を割安で販売 廃棄ゼロ指す」を見てみよう。

森永製菓は賞味期限が近づいた自社在庫の菓子を、スーパーなどで割安に販売する。詰め合わせで、価格は通常の売価から3割強引いた1050円に設定、という。

今までは、廃棄処分にするほか、ディスカウントストアに安く卸したり、社内販売していたというが、「もったいない」と思う一方、企業活動としては「仕方がない」ともいえる。ディスカウントストアでの販売は、購入客層が異なっていたり、菓子をまとめ買いしたりする。しかし、スーパーにおいて3割引で販売すれば自社の新しい商品とカニバリ(喰い合い)を起こす恐れが多分にある。

この取り組みでは、10品目前後、約1600円分の商品が袋詰めされて1050円で提供されるという。詰め合わせである程度まとめ買いすれば、新商品の購入頻度も低下してしまう恐れもある。

「モッタイナイ」のキモチで廃棄ゼロを目指す。社会的には意義のあることだが、企業の業績には悪影響を与えるかもしれない危険な賭けであり、もしかするとこれは、蛮勇なのではないか。大丈夫なのか、森永製菓。

筆者はいけると考える。「廃棄ゼロ」というすばらしい取り組み。それが顧客に認識されれば、森永製菓への好感度が高くなる。菓子を購入する時に、同社の製品を指名買いすることも多くなるだろう。競合戦略としてしっかり機能するはずだ。

また、10品目の詰め合わせといっても、全ての商品ラインがカバーされているわけではないだろう。「格安のセットを買って、もう一つ欲しい商品は通常の価格で買って」という購買行動を引き出せれば、マージンミックスができて収益も確保できる。もちろん、廃棄費用の削減というバリューチェーン上のメリットも見逃せない。

顧客のことをしっかり見て、その要望に応える。社会的な要請に耳を傾け、その実現にチャレンジする。しかし、キッチリと収益を確保する裏付けも用意しておく。その整合性が重要なのだ。あっぱれ、森永製菓。消費者として、社会の一員として拍手を送りたい。

筆者は、4月7日から1日に20kcalづつチマチマとチョコを食べ、5月からはお得な詰め合わせを子供のおやつとしてスーパーに買いに行くに違いない。

 

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