したたかイー・アクセス、新市場を開拓した通信ベンチャーのこれから

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それだけ傾注するモバイル事業とは、持ち分法適用会社(07年5月まで連結子会社)のイー・モバイルが展開するモバイルブロードバンド事業のこと。07年3月に高速データ通信サービス、08年3月に音声通信サービスを開始したばかりだ。

08年度100万件の純増目標はほぼ達成したもようだが、牽引役は売り上げの大半を占める通信データカードという端末。PCを持ち歩く人にとっては必須アイテムだ。

iPhoneにぶつけたミニPCとのセット販売

08年7月10日。日本でアップルのアイフォーンが発売された前日に、イー・モバイルも勝負に出た。台湾のアスース製ミニPC(ネットブック)と通信データカードのセット販売を開始したのだ。

2年間、月額最大6880円の料金プランに加入すれば、ミニPC本体が100円になるというもの。PC購入費をイー・モバイルが補填する代わりに、通常より高めの料金プランに加入してもらう。タダ同然で携帯を販売し通信料金でその費用を回収する、以前の携帯販売モデルの転用だ。

これが当たった。アスースに続きエイサー、デル、HP、そして日本のメーカーも参入、ミニPC市場が一気に開花した。「発売数カ月後の調査では、ユーザーは男女問わず幅広い年代」(イー・モバイルのガン社長)。FTTHなどと違い、工事不要という点も支持されるポイントとなっている。

ブームを巻き起こしたこの100円PC。実は、アップルに袖にされたがゆえの産物、という。「1年前、アップルに提案したの。iPhoneはウチとやるのがいいって。ウチのネットワークがいちばん安くて速いから。でもソフトバンクの孫さんに取られちゃった」(千本会長)。

対抗できる端末を探し回っているうちに、偶然、世に出てきたのがアスース製のミニPCだった。これは化けるかも、という家電量販店や現場担当者の指摘も引き金となった。

「iPhoneの魅力はPC機能にある。そしてお客さんはPCが安ければ買う。携帯に比べて画面は大きいし、キーボードもあって使い勝手がいい。通信ネットワークとPCを組み合わせるアイデアは、アスースの安いPCがなければ浮かばなかった」(ガン社長)。

通信データカードは携帯と違って陳腐化しにくいし、PCは量販店が調達するので在庫負担もいらない。量販店もPC売り場の活性化は大歓迎で、量販店とウィン・ウィンの関係を構築できるメリットもあった。

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