新幹線を超えろ!日独仏「高速鉄道の攻防」 ドイツ高速列車に2階建て100系の影響が
ICE-1に生かされていた100系のコンセプトは、例えば食堂車の設計には100系の二階建て部分のようなドーム状の様式が取り入れられ、100系の展望食堂車のような明るい食堂車になったこと、これまで電波がとぎれがちだった車内電話も、100系の通話方式にしていつでも通話ができるようになったことなどだ。
サービス面でも、車内販売で本格的ドリップコーヒーが提供できるようになった。車内販売のワゴンも新幹線に酷似したもので、コーヒーのジャーは新幹線車内で使われているのと同じ「象印」のものだった。
後日、この技術者とドイツ国鉄のナンバー2にインタビューしたとき「シンカンセンにはかねてからジェラシーさえ感じていた」と語り、ICE-1の開発にあたっては100系に大いに学ぶところがあった……と告白した。日本を「敵視」してきたフランスのTGV開発とは格段の開きを感じた次第だ。
「元祖」より遅い最新の新幹線
このように、高速列車は時速300km走行の時代になり、ICEの現在の代表車であるICE-3や、フランスの2階建て車両TGV-デュプレックスなどは最高時速320kmで走行中だ。
さて、国内の新幹線の最高速度といえば東京~青森間を結ぶ東北新幹線「はやぶさ」が一部区間で時速320kmの「世界タイ記録」で面目を保ち走行中、N700系が山陽新幹線内では時速300km、東海道新幹線内でも時速285kmの速さを誇っている。
ちなみに最新の新幹線である北陸新幹線と、今年3月に開業する北海道新幹線は最高速度が時速260kmに抑えられている。これは全国新幹線鉄道整備法に基づく「整備新幹線」の法の下に規定される最高速度が時速260kmと決められているからである。50年以上も前に開業した東海道新幹線よりも、北陸・北海道新幹線は遅いというわけだ。
本格的に時速300kmを超える列車は「リニア新幹線」の開業を待つよりしかたがないというのが、日本の高速鉄道の現状のようである。
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