GMの再建猶予は60日、劇薬服用のシナリオ

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100年に一度といわれる経済危機の状況も、チャプター11の効果が期待されるゆえんだ。最大マーケットである米国の新車販売台数は3月も前年比マイナス36.8%と大幅な減少が止まらず、2009年販売台数は990万台程度にとどまるおそれもある。ピークだった07年レベルに全需が戻るのは12年以降というのが大方の見立て。V字回復どころか、底を打ったまま低位横ばいが続く“L字型”の状況下で、メーカーは資産のダウンサイジングをしなくてはならない。そこに政府がずるずるとつなぎ融資を続けても、過剰債務が膨らむだけである。

破産シナリオに現実味

チャプター11適用には負の側面を指摘する声もある。政府に事実上更迭されたワゴナー前GM会長は「チャプター11を適用すると、クルマが売れなくなり清算に至る。そんなことはできない」と一貫して主張してきた。法的整理は事業を著しく毀損するという考え方である。が、これは的を射ていない。

米国では過去に数多くの航空会社がチャプター11申請をしたが、乗客がキャンセルのために空港に長い列を作るようなパニックは起きなかった。航空機は粛々と飛び続け、人々は平然とタラップを駆け上がった。

その証拠に、ワゴナー氏の後釜に就いたヘンダーソン新CEOが、「再建のためには手段を選ばない(チャプター11適用もありうる)」という衝撃的なコメントを発したが、その後、GMユーザーが一斉に自家用車を売り払ったり、債権者が取り立てに走るといった現象は今のところ起きていない。

GMの08年12月末の債務超過額は861億ドル(8.4兆円)と天文学的数字に膨らんでいる。3月の米国販売も44.7%減とず抜けて悪い。いったん影を潜めた破産シナリオだが、ここに来て一気に現実味を帯びている。「もちろん自力再建が前提」(ヘンダーソンCEO)とはいえ、GMに残された時間はあまりに少ない。

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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