ゆうちょ銀が限度額の引き上げで背負う難題 貯金限度額1300万円への増額を喜べない

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同じ日本郵政グループに属するが、建前上はゆうちょ銀行と日本郵便は別会社になっている。(撮影:尾形文繁)

政治に翻弄されるゆうちょ銀行に、また新たな宿題が課された。

2015年12月25日、郵政民営化委員会は、現行1000万円の貯金預入限度額を「300万円程度引き上げることが妥当」と発表。政令改定などを経て今年4月から1300万円になるとみられる。

貯金限度額が引き上げられるのは、1991年以来、25年ぶりだ。前回は引き上げ後に貯金の伸びが加速し、民間預金の伸びを上回る時期が続いた。民間金融機関が猛反発したことで、再引き上げはタブー視されてきた。

しかし、14年12月の衆議院議員選挙で勝利した自民党が、限度額見直しの検討を公約。15年6月には同年9月末までに2000万円、2年後に3000万円へ引き上げるべき、と提言した。

引き上げの背景に全国郵便局長会の政治力

自民党がここまで動くのは、全国郵便局長会(旧全国特定郵便局長会、略称・全特)が、限度額引き上げを要望しているからだ。全特は全国約2.4万の郵便局の大半の局長が集う組織だ。

13年の参議院議員選挙では、全特前会長の柘植芳文氏を、自民党比例区トップの40万票超で当選させた組織力を持つ。7月に、参議院議員選挙が控える自民党や安倍政権にとって、重要な存在である。

自民党の提言が15年6月に出るや、全国銀行協会や全国信用金庫協会など七つの民間金融機関団体は、共同声明を発表。「断じて容認できるものではない」と反対した。

だが政府は15年7月、民営化委に、「今後の郵政民営化の推進の在り方の調査審議」を要請。それに応える形で、民営化委が同12月25日に所見を公表し、限度額引き上げへの道筋をつけたのである。

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