グレゴリー・ガイエット JPモルガン証券社長兼CEO--毒性資産の処理ほぼ終え、不況下の不良債権が焦点
米国は金融危機を乗り越えられるのか。大手の一角、JPモルガン(JPM)グループのJPモルガン証券で社長兼CEOのグレゴリー・ガイエット氏に聞いた。
--米国の景気刺激策や金融安定化策をどう評価していますか。
オバマ政権は、不確実性が高く将来予想が困難なときに必要なすべての施策を講じている。細かい指摘もあろうが、8000億ドルの景気刺激策は重要だ。住宅の差し押さえを食い止め、住宅所有者が住宅ローンを安定的に返済できるイニシアティブの構築も歓迎すべきものだ。建設的な施策をうまくパッケージ化したと考えている。
金融安定化策は、非常に迅速に事態が動いている中で、ある時点で最終的な「解」を打つことは難しい。状況の変化とともに対応策も進化しなければならない。すでにシティへの見方も変わり、優先株への資本供与も一部普通株に転換された。今後、米財務省が銀行にストレステストを行い、銀行ごとの評価と対応の違いがハッキリ出てくれば、事態は少しずつ改善していくだろう。
--金融安定化策が十分な有効性を上げるのに必要なポイントは。
ストレステストによって、どのような金融機関が健全か、資本不足に陥る金融機関はどこかなど、非常に多くの情報が把握されるだろう。同時に、テストの結果、資本不足になりそうな銀行には資本注入できる準備もできる。今回は普通株での資本注入となろう。
また、銀行の帳簿から問題資産を外すことの重要性を、オバマ政権が認識している点だ。いわゆる毒性資産(サブプライムローン関連の不良資産)は、この2年間でかなりの処理が終わった。これは去年の問題だ。米銀のほとんどが、これ以上の下振れリスクがないくらいの低いところまで、毒性資産の価値を見直して減損しているわけだ。今の段階での課題は、景気後退が深刻化する中で、消費者ローンや企業融資がどのようなパフォーマンスの悪化を示すかという問題に移っている。
--具体的に銀行をどのように処理していくと思われますか。
おそらく銀行を三つのカテゴリーに分けることができる。第一は十分な資本を持って現状の危機に耐えられる銀行で、問題資産を保有し続けるだろう。第二は基本的には健全な銀行だが、ここは一部資産を売却していく。第三は健全性を持てない銀行で、政府の介入がかなり必要になってこよう。