なぜ潜水艦では、カレーが好まれるのか? 知られざる潜水艦乗りの生活に迫る<前編>
それは、科員食堂の「長いす」です。下の写真で、乗組員が座っているいすに、丸い孔が開いているのが見えるでしょうか。ここにジャガイモやカボチャなどが格納されています。中は仕切りがついていて、種類ごとに分けることができます。乗組員が座っている茶色い部分が蓋になっていて、これを持ち上げて、取り出したり、格納したりします。
食料品の保存でもうひとつ苦労してきたのが「パンの保存」です。潜水艦の朝食はパンが一般的です。ただ、パンの長期保存は大変でした。しばらくすると、カビが生えてくるからです。乗組員の間には、「カビの部分を切り落としていたら、だんだん小さくなり、最後には切手のようなパンを食べた」という伝説も残っています。
そこで、このパンを「何とか長期間もたせよう」と工夫が重ねられ、アルコールガスを封入した厚手のナイロン袋にパンを入れ、冷蔵保存するという方法が考え出されました。アルコール臭はトーストすれば飛んでしまうので、食べるうえではまったく問題ありません。これによりパンの鮮度を、長期間、維持できるようになったのです。
「長期間」といえば、現在ではスーパーの牛乳売り場でよく目にするロングライフの牛乳――これも潜水艦では、かなり早い時期から導入していました。また、ある食品メーカーは、ロングライフの豆腐を開発し、潜水艦部隊での利用を提案してこられました(そのときは採用になりませんでしたが)。このロングライフの豆腐は、最近、やはりスーパーで目にするようになりましたが、今、潜水艦部隊で採用しているかどうかは定かではありません。
ここまで、潜水艦乗りの食料といった日常生活について取り上げました。後編でも引き続き、寝床など知られざる一面について取り上げたいと思います。
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