東京の地下で進行する「メトロ大改造」の中身

混雑と遅延の緩和を狙いインフラ強化

既存トンネルを解体する工事は、東西線でも計画されており、木場駅では「日本初」の構造を「世界初」の工事で改造する。木場駅は、日本で最初に駅のホーム部分がシールドトンネルになった駅だ。

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木場駅の工事前(上)と後(下)のイメージ。工事によってホームを広げ、コンコースを増設し、利用者の流れをスムーズにする(イラスト提供・東京地下鉄)

今回の工事では、コンコースとホームを広げるため、その周囲にひと回り大きいトンネルをつくり、シールドトンネルを構成する円弧状のブロック(セグメント)を1個ずつ撤去する。

列車運行を継続しながらシールドトンネルを解体する工事は、世界でも例がない。解体現場の真下は列車が走る線路なので、きわめて難易度が高い。

この改造の目的も、遅延抑制だ。木場駅では、近隣の再開発地区に本社を構える企業が増え、朝に下車する利用者が増えた。ところがホームが狭いために、都心寄りの出入口に利用者が集中して混雑し、安全確認に時間がかかり、遅れが発生する。そこで、駅の都心側をまるごと改造してホームを拡幅し、ホーム階と改札階の間にコンコースを新設し、人の流れを分散させることになった。

東西線では、今後の大改造で、朝ラッシュ時の混雑率が200%から180%以下になる見込みだ。駅の大規模改良工事は、木場駅以外にも2駅(茅場町駅・南砂町駅)で行われ、遅延が抑制される。また、1駅間(飯田橋・九段下間)の折り返し設備を改造し、朝ラッシュの列車を3本増発する予定だ。

再開発に合わせた駅改良も

大改造は、他の路線でも計画されている。たとえば千代田線や丸ノ内線では、支線の駅を本線と同じ長編成対応にして直通運転を可能にし、輸送改善を図る計画がある。歴史ある銀座線では、全駅のリニューアルだけでなく、渋谷駅の移設(再開発の一環)や、浅草駅と新橋駅の改良工事の計画がある。

日比谷線では、虎ノ門ヒルズの近くに駅が新設され、2020年の東京五輪の前までに開業する予定だ。この工事は、国家戦略特区にもなった虎ノ門の再開発とセットになっており、東京メトロは、この工事の事業主体(UR)から受託して駅を新設する。新駅は、BRTが乗り入れる虎ノ門バスターミナルとも直結する計画だ。

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丸ノ内線の中野新橋駅。通路の構造が複雑になったのは、線路が浅い位置にあり、ホーム階と改札階を直接エレベーターでつなぐことができないという空間的制約があったため(駅構内図提供・東京地下鉄)

駅のバリアフリー化として、エレベーターの新設や多目的トイレの新設・増設も行われているが、地下の空間的制約のため工事が大規模化したり、構造が複雑になったりすることもある。

たとえば丸ノ内線の中野新橋駅では、線路が浅い位置にあるため、ホーム階から改札階を直接エレベーターでつなぐことができず、いったん下がって線路の下を潜り、また上がるという、やや複雑な構造になっている。

以上紹介した大改造計画は、今後5年以上という長期に渡り続く。野焼氏は、「われわれは路線全体を生まれ変わらせるという意識を持っている」と語り、時代のニーズに合わせて既存路線を機能更新することが路線全体の価値を高め、サービス向上につながるという。

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