「正露丸」の大幸薬品が”家電”に進出した理由 空間除菌「クレベリン」は信頼を取り戻せるか

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国民生活センターが、空間除菌製品に対する消費者からの相談の増加を受け、大幸薬品を含む複数事業者の据え置き型の9つの製品について、使用中にどのくらい二酸化塩素が放散されているのかを調べた結果を発表した。

発表リリースの中で、国民生活センターは「さまざまな状況が考えられる生活空間で、どの程度の除菌効果があるのかは現状ではわからない」と、消費者に注意を促した。

2014年3月には、消費者庁が「二酸化塩素を利用した空間除菌を標榜するグッズ」、すなわち空間除菌製品の宣伝文句に合理的根拠がないとして、景品表示法に基づき、再発防止などを求める措置命令を出した。対象となったのは17社の25製品だった。

信頼はまだ回復途上

二酸化塩素カートリッジを販売することで、複写機メーカーと同じように消耗品で収益をあげるビジネスモデルの確立を目指す

大幸薬品もクレベリン ゲルについて、「ポンとおくだけ!空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」などと記載していた。

各社は消費者庁の求めに応じて、根拠の資料を提出。だが、各社が示したのは主成分の二酸化塩素自体の効果や、換気や人の出入りが不十分な密閉空間の試験結果だった。

最終的には、生活空間における除菌効果の「合理的な根拠」とは認められなかった。

大幸薬品は、消費者庁の指摘を受けた2014年3月に、「どのような環境においても当該2商品から放出される成分が同じように広がるとの誤解を生じかねない広告表現となっていた」と認識していると発表。

ウェブサイトなどの広告表現を見直し、「ご利用環境により成分の広がりは異なります」などという文言を付け加えた。

消費者庁の措置命令は、換気の激しい場所での効果を疑問視したもの。だが、消費者は空間除菌製品自体に不信感を抱いた。

2014年度の感染管理事業の売り上げは、前期比26.5%減の32億円に沈んだ。2015年度の販売計画は34.8億円と、まだ回復途上にある。

吉川専務は「他社がクレベリンLEDを搭載した製品を開発するということは、クレベリンがその企業から評価されたということ。消費者にもいい製品だと思ってもらえる」と期待を込める。

一度、離れた消費者はまた戻ってくるのか。風邪やインフルエンザが流行する時期にどこまで販売を伸ばせるかが焦点となる。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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