市場心理は実態以上の不安感に囚われている

売られすぎが売られすぎを呼ぶ過剰反応

すなわち、QE3でとてもカネ余りになって、それが米国や新興諸国の株価を大いに押し上げた、というのは幻想であるし、逆にQE3をやめて利上げを開始したから、米国の余剰資金が怒涛のように引き上げて、米国や新興諸国の株価を押し下げ始めた、というのも幻想であると考えている。

なぜマネタリーベースにかかわらず、M2の伸びがほとんど変わらないのか。それは、連銀が民間銀行から国債等を大量に買い入れ、その代金を民間銀行につぎ込んでも、融資などの形で銀行から資金がその外側に流れ出さなければ、経済全体としての資金量は変わらないからだ。

中国株や中国元の下落と日本株

昨年7月のボルカールールの完全実施で、銀行が直接株式や外貨資産、ヘッジファンドなどに大いに資金を投じるといった道も、極めて細くなっている。現在の米国における、民間の家計や企業の借り入れ需要は、景気に沿って緩やかだが安定した伸びを続けている。米連銀の金融政策にかかわらず、過去3回の量的緩和で銀行に吹きだまった資金から、民間非金融部門は、安定した伸びで資金を借り続けているわけだ。

中国株や中国元の下落も、日本株の売り要因だと言われている。確かにサーキットブレーカーの導入や停止などのドタバタにはあきれ返るが、中国経済減速は周知のことだ。上海総合指数が下落しサーキットブレーカーが発動した1月4日(月)や1月7日(木)は、「中国株が大幅に下落したから大変だ!」と日本株が売られ、上海総合指数が上昇した1月6日(水)や1月8日(金)は、「中国株が上昇しても関係ない、ほかに悪材料がある」と、やはり日本株が売られるという、「何がどうなろうと売り」状態だ。これは、市場心理が悪い方向に傾きすぎていることを示唆している。

為替市場では、元安が円高の材料とされている。中国元が対円で下落するのは当然としても、それで日本の輸出企業が中国との競争上不利であれば、円安になるはずだ。あるいは、日本の輸出が打撃を受ける、もしくは中国から日本への観光客が減る、という形で日本の経済が傷つくのであれば、それも円安要因だ。

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