市場心理は実態以上の不安感に囚われている 売られすぎが売られすぎを呼ぶ過剰反応

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北朝鮮の核実験でも円高に振れる地合いは、為替市場が「リスク回避のための円高」病にとらわれているためだろう。北朝鮮に地理的に近い日本円を買って、北朝鮮から遠い米ドルやユーロを売る、というのは、あるべき姿のまったく逆だ。きっと富士山が噴火しても、直下型地震で東京が壊滅しても、「リスク回避のための円高」として円が買われるのだろう。

短期的には売られすぎが進むリスクも

このように、現在は「日本株は売られすぎ、円は買われすぎ」だが、いずれ修正が入り、年央に向けて株高基調へと移行しよう。ただし、過去の相場をみれば、売られすぎがさらに売られすぎになり、もっと売られすぎになってしまうことは、しばしばある。

東洋経済オンラインには2014年7月から寄稿させていただいている。市場の行きすぎという点で思い起こすのは、今回とは値動きが逆になるが2015年8月上旬にかけての国内株の買われすぎだ。筆者は5月頃から危険信号を見出し、日経平均株価が1万8000円を割り込むリスクを何度も述べたが、実際の日経平均は、ザラ場ベースで8月11日に2万0946.93円で2度目の高値をつけた。すなわち、買われすぎがさらに買われすぎになる現象が起こった。この5月から8月初は、筆者の見立てが外れ、読者の皆様からお叱りを多々頂戴した。しかしその後、国内株価は大きく調整した。

株価下落後、今度は国内株価が売られすぎに転じたと8月下旬から述べた。ところが売られすぎはさらに売られすぎとなり、株価底入れは9月29日までずれ込んだ。どうも筆者は、売られすぎ、買われすぎの判定が早すぎるようだ。現局面も、目先はまだ売られすぎが進む恐れが残る。年初来6日以上の連続下落記録の可能性も高い。先週は、日経平均のザラバ高値からザラバ安値までの値幅は1441円もあった。今週(1月12日~15日)は、それより小さくなると見込むが、日経平均のレンジ(ザラバ安値からザラバ高値まで)は1万7000円~1万8000円と、広めに予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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