(このひとに5つの質問)西岡明賜 イオンドラッグ事業EC議長
ドラッグストアCFSコーポレーションの経営統合に反対し、委任状勧誘に動く筆頭株主イオン。ドラッグストア事業を統括する西岡氏がCFSとの知られざる経緯を語った。(『週刊東洋経済』1月12日号より)
業績立て直しがまず必要 経営統合にメリットなし
1 CFSコーポレーションとアインファーマシーズの経営統合の問題点は?
CFSの石田健二会長兼社長から打診があり、岡田(元也イオン社長)と、アインの大谷喜一社長と3人でお会いしたのが2007年1月。その時初めて統合の話が出た。が、条件が合わず大谷社長は降り、私どもも反対した。白紙になったと理解していたが、両社は交渉を続けていた。知ったのは、10月統合発表のわずか1週間ほど前。理想の前にまず必要なのは、足元の業績の立て直し。今回の統合はCFSの株価が低迷する時期に決定され、株主に不利な株式移転比率になっている。
そもそも医療用医薬品を扱う調剤薬局と、事業モデルが異なるドラッグストアが統合して、本当にメリットがあるのか。今後薬価引き下げで調剤薬局が厳しくなるのは明確。統合はアインにはメリットだろうが、CFSにとって(メリットは)何もない。
2 どのような経緯でCFSと提携したのでしょうか。
もともとイオンが支援していたヤオハン(現マックスバリュ東海)と、CFSのスーパー部門をくっつける狙いだった。そしてドラッグ部門はイオン・ウエルシア・ストアーズ(イオンのドラッグストア連合)で活躍してもらえばいいと。それで00年に業務資本提携をした。だが、計画は実行されないまま。06年末、石田さんと話をしたら「あのときスーパー部門をヤオハンと一緒にしておけばよかった。私の判断ミスだった」とはっきり言っていた。
3 CFSは04年にそのウエルシアから離脱しました。
あのときも一方的に業務提携の破棄を言い渡された。社内には「TOBをかけろ」という意見もあったが、岡田は粘り強く話し合いを続けた。うちは辛抱強い。
4 ウエルシアの「緩やかな連帯」に限界があるのでは?
09年の改正薬事法施行の前に、ドラッグストア業界は大再編が起こる。たとえば、ウエルシアの一員であるツルハHDは、あれだけ大きな企業に成長しても、なぜウエルシアから離れないのか。イオンがバックにいると安心だからだ。今はグループ9社で構成されているが、今後、グループへ入りたいと言ってくる会社は間違いなく増える。
5 委任状争奪戦の勝算についてどう考えていますか。
金融機関や取引先などのCFS株主が不当に低い統合比率を容認すると、自社の株主から代表訴訟を受けるリスクがある。一方、CFSとも取引があるから「できるだけ穏便にやってください」という声があるのも事実だ。CFSには一般株主の持ち分も多い。今後、われわれの主張をきちんとご説明していく。
(書き手:並木厚憲、佐藤未来 撮影:谷川真紀子)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら