人類は資本主義を本当にこのまま続けられるか 斎藤幸平と水野和夫が次の社会を構想する

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(左)斎藤幸平氏と(右)水野和夫氏が、資本主義の危機に対してどのような策を打ち出すべきか問題解決への道を探っていく(撮影:露木聡子)  
「資本主義が終焉期に入っている」と多くの著書で指摘する水野和夫氏は、「このまま資本主義にこだわり続けて今の生活スタイルを守ろうとすれば、資本主義の終焉は多大な苦しみも生むハード・ランディングにならざるをえない」と予想する。
このまま経済成長を最優先し、ハード・ランディングに突き進むのか。それとも、別の経済システムに移行し、ソフト・ランディングを選ぶのか。そんな時代に、私たちはどうすればいいのか。資本主義や民主主義の危機について海外の知識人たちを訪ね歩き、編著者として『資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐』にまとめた斎藤幸平氏と水野氏の対談をお届けする。

斎藤幸平(以下、斎藤):私自身も水野さんと同じように考えていますが、とくに最近は、資本主義のハード・ランディングが経済の大混乱のみならず、地球環境そのものを破壊するところまでいくのではないかという危機感を抱いています。実際、過剰な利潤追求が引き起こした気候変動に代表される、環境危機の問題が極めて深刻になってきています。

今、ここで私たちが何を選ぶかで未来が変わってしまう「大分岐の時代」を迎えています。

水野和夫(以下、水野):『未来への大分岐』には、私も大いに触発されました。

日本の経済論壇がアベノミクスの是非に拘泥している間に、海外では資本主義の次の社会をどう構想するのか、これほどまでに具体的な議論が進んでいるのかと驚きました。日本だけが「大分岐の時代」にいることから目を背けているのかもしれないね。

資本主義の危機はどこまで進行しているか

斎藤:「資本主義の終わりを想像するより、世界の終わり方を想像するほうが簡単だ」と、かつてフレドリック・ジェイムソンという批評家が述べたことがありました。欧米でも近年までそういう考え方だったのです。ただ、リーマンショック後の10年ほどの間に、ウォール街占拠運動を皮切りにして「資本主義の次の社会」をどう構想するのかという議論が一気に進みました。

でも今日はまず、資本主義の危機がどこまで進行しているのか、確認するところから始めましょうか。

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