15%がうつ、がん遺族には心の治療が必要だ 苦しむ遺族が訪れる「遺族外来」の実態とは?

家族との死別は人生最大のストレスだ
――遺族外来というのは、ストレートな名前です。どのようなきっかけで始めたのですか。
苦しむ遺族に来てほしいから、わかりやすい名前にしました。精神科というとピンとこないし、ハードルが高いので。
精神科医として勤めて10年ぐらい経ったとき、がんの患者さんや家族の診察が多くなったんです。亡くなった後、よりよく喪に服せればいいのですが、周りの対応に傷つけられる例は少なくありません。
ある女性は、家族と死別語、相続をめぐって家を追い出されてしまいました。診察を通じてサポートし、生きていく力がついて元気に暮らしているのが救いです。
別の女性は夫をがんで亡くし、自身も乳がんになりました。その後に仕事を辞めたら、うつ病になった。死別は人生最大のストレス。さらに病気や退職のストレスが重なり、治療が必要になったんです。こうした出会いが続いたので、埼玉医大に赴任した後、がん患者さんの心のケアをする「精神腫瘍科」の中で、2007年から遺族外来を始めました。
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