従来型の病院は30年後までに消えてなくなる 「負のオーラ」出まくりの病院をどう変えるか
「スタバと同じ土俵で戦わない」。1つの答えが病院内出店
――松田公太さんは、タリーズのコーヒーショップを日本で展開されるとともに、東大病院内にオープンさせた経験をお持ちです。タリーズは日本の病院が大きく変わるきっかけとなったともいわれます。国会議員として公的空間についての国の考え方もよくご存じです。まずは民間企業が病院内にテナント進出する際の苦労などをお話しいただきたいと思います。
松田:タリーズは、シアトルにあるわずか4~5店舗の小さなチェーン店でした。私はその「スペシャルティコーヒーの文化」を日本に広めたいと思い、交渉の末に日本での営業権を得て、1997年銀座に1号店を出すことができました。
しかしその少し前、同じ銀座にスターバックスコーヒーの1号店ができていた。あちらには行列ができ、こちらは思うようにお客さんが来店してくれない。苦しい時期が続きました。
資金力もあったスターバックスは、大型店舗を一等地にどんどん出していく。われわれにはその戦略は取れないので、同じ土俵で戦うのはやめました。小さな店の展開に活路を見いだしたのです。特に力を入れたのがオフィスビルにカウンターだけの小さな店を出す戦略。初めは三井物産の本社(東京・大手町)に、わずか5坪の店を出しました。
三井物産の幹部の方からは、「すぐ撤退するだろう」と思われていたようです(笑)。当然です。というのも、同じビルの地下には大きな喫茶店があったし、各フロアには無料でコーヒーが飲めるベンディングマシンも設置されていた。わざわざ1杯400~500円も払ってテイクアウトのコーヒーを求める人など、いないだろうと思われていたのです。
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