中国・韓国・台湾もグリーンブーム! 大型政策が新興企業を後押し

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 同社に限らず、近年は「中国、環境、ハイテク」とつけば、あらゆる投資筋から“買い”の入る状況が続く。典型例が太陽電池メーカーだ。05年以降、尚徳電力(サンテック・パワー)や保定英利新能源(インリー・グリーンエナジー)といった太陽電池メーカーが続々と英米市場に上場し、数百億円規模の資金を調達した。これら新興企業が大型の設備投資を行った結果、中国の太陽電池生産量は07年に日本を抜いて世界首位となったという(PVニュース)。産業全体の輸出比率は98%に上る。

中国でも06年の再生可能エネルギー法で、欧州の固定価格買取制度(FIT)に近い買取制度が導入されたのを機に、グリーン産業が活発化している。国家電力監督管理委員会によると、水力や風力など再生可能エネルギーの発電能力は、発電総能力の22%を占める。この流れを加速させるために国家発展改革委員会は導入の数値目標を掲げた中長期計画(下表参照)を発表した。

特に導入コストが低い風力発電は活発。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、08年に世界で新設された風力発電設備約27ギガワットのうち、23%が中国に設置されている。国別では米国に続く2位。「05年ごろから風力バブルといってよい状況が続き、不動産や流通など、異業種参入による投資も活発」(NEDO国際事業統括室)。また、クリーン開発メカニズム(CDM)の枠組みを使った外資投資も盛んだ。

中国は9割超のエネルギー自給率を誇るが、原動力は石炭資源。CO2排出への国際世論が厳しい中、グリーンエネルギーへ移行しなければエネルギー安全保障が侵されるという危機感が強い。今後は09年前半にエコカー振興などの自動車政策、10年にエネルギー関連の上位法となる「能源法」の策定などが見込まれ、産業の刺激剤になると期待される。

台湾も再生可能エネルギー産業の育成に動き始めた。台湾は電子産業が製造業生産額の4割を占める電子大国。だが柱の半導体と液晶パネルは中期的に激しい価格下落が必至で、両分野に代わる成長軸としてグリーン産業を位置づけている。特に太陽電池とLED照明は既存の電子技術が活用できるため、電子メーカーからスピンアウトしたグリーンベンチャーが続出している。東アジアの官民の攻勢に、日本はどこまで先行性を維持できるだろうか。

(週刊東洋経済)

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