太陽電池に賭ける日本の電機業界、惨敗のデジタル家電から急シフト

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 何しろ、太陽電池の市場は有望だ。太陽光発電などによる電力を電力会社が高額で買い取る欧州の普及促進政策「固定価格買い取り制度=フィードインタリフ(FIT)」により、近年の太陽光発電の世界設置量は急拡大。現在は需要の過半を欧州が占めるが、今後はオバマ政権が誕生した米国などでも需要拡大が期待され、野村証券金融経済研究所では12年の市場規模が6・6兆円(07年推計は1・7兆円、金額は周辺機器を含む)にまで成長すると予測している。さらに、新興国を含めた世界規模で既存エネルギーからの切り替えが進めば、その潜在的な市場規模はケタ違いに大きい。

しかも、昨今の電機業界を見渡せば、デジタル家電や半導体などのデバイス、産業用機器、車載関連など、各社の主力事業は軒並み壊滅状態。家電・総合電機大手8社の09年3月期決算は、合計で1兆5000億円もの巨額最終赤字に転落する見込みだ。世界的な景気悪化による需要縮小のみならず、数少ない成長分野だった薄型テレビなどのデジタル家電も急速なコモディティ(汎用品)化に直面。追い込まれた電機業界において、次の“食い扶持(ぶち)”を確保する意味でも、太陽電池事業への期待は高まるばかりだ。

日本勢の地位は低下 FIT導入で巻き返すか

問題は、その太陽電池で世界を舞台に日本勢が勝ち残れるかだ。

そもそも、太陽電池は長らく日本が研究開発でリードし、「日本のお家芸」とも称されてきた。しかし、近年は海外勢の台頭が著しく、従来の業界勢力図が一変。07年にはドイツのQセルズが、それまで7年連続トップだったシャープを抜き去り、太陽電池生産量の世界首位に躍り出た。国内勢は05年当時に世界5位だった三菱電機が上位から姿を消し、上位に残ったシャープ、京セラ、三洋も軒並みシェアが減少(下グラフ参照)。さらに最新の08年実績では、三洋がトップ10から脱落した可能性が高い。


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