【産業天気図・家電・AV】08年度前半は為替や米国景気減速を懸念し「曇り」

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2008年度の家電・AVは前半が「曇り」、後半は「曇りに近い晴れ」と見ている。
 08年度前半を「曇り」としたのは、外部環境が非常に読みにくいためだ。まず、不安要素は為替と米国景気の動向。為替については、07年前半が1ドル120円台で推移して多くの企業が円安の恩恵を享受していた。ところが、現在のような1ドル100円に近い円高基調が続けばそれだけでメーカー各社には逆風となる。特に影響が大きいのはAV製品の米国売上高比率が高いソニー<6758>や松下電器産業<6752>など。ソニーは1円円高にふれると年間約60億円、松下電器産業も年間約25億円の減益要因となるだけに気をもむ展開が続きそうだ。
 さらに米国の消費減退の懸念もくすぶっている。第3四半期の業績はソニー、松下ともに薄型テレビなどの販売が好調で増収増益だった。だが、景気の影響を受けやすいとされるデジタルカメラの年末商戦に向けると目を向けると、オリンパス<7733>は欧米における販売が低迷し中間期に上方修正した出荷台数計画を引き下げる事態になったほか、キヤノン<7751>もやや伸び悩んだ感がある。そのため、北米の消費が減速しはじめているとの指摘もある。
 一方、プラスの材料は8月に開催される北京オリンピックだ。特に7月ごろから薄型テレビを中心にしたAV製品の需要が急激に高まるだろう。特に国内では薄型テレビに加えて、「規格争いが決着したブルーレイディスクレコーダーが伸びる」(大手量販店幹部)と期待される。
 以上のように、現時点での家電・AV業界は、今後良くなるとも悪くなるとも言えない非常に微妙な環境に置かれている。メーカー各社は非常に頭を悩ませているのが実情だ。
 08年度後半も前半の動向によって大きく変化するため、非常に難しい状況にある。東洋経済オンラインでは、北京オリンピック終了直後は需要が落ち込むものの、年末商戦に向けて盛り返し「晴れ」になると見ている。だが、為替や米国景気という不安の「曇り」は常にかかっており、決して楽観視できる状況ではない。
【中島 順一郎記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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