韓国政府が描く雇用増は「絵に描いた餅」だ 2016年の韓国経済は就職難が深化する

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労働市場に新たに参入する青年求職者からすれば、2016年は2015年より厳しい1年となりそうだ。

統計庁が発表する雇用動向によれば、2014年10月に55万5000人だった就業準備者は、2015年10月には63万7000人と大きく増加している。これにより、就業準備者が非経済活動人口の中で占める割合も3.5%から4.0%へと拡大した。

この傾向は、今後も続きそうだ。就職浪人が継続して増加しているためである。30代の2016年採用計画もまた、前年とそれほど差がない。韓国経済が画期的に好転するチャンスを用意できない限り、2016年にも企業の意欲的な採用拡大は期待できない。

賃金上昇率はあまりにも低い

雇用が不足し、雇用市場がよくない状況では、賃金も上がるはずがない。最近、韓国証券取引所が上場企業498社の2015年第3四半期(1~9月)までの業績を分析した結果、売り上げは減少したが営業利益と純利益は増加していることがわかった。

営業利益と純利益は、前年同期比でそれぞれ12.7%増、11.3%増となった。売上高に対する営業利益率と純利益率も、それぞれ0.9%、0.6%上昇している。純利益の改善は原油価格など原資材価格の下落と為替レートの上昇効果による側面が大きいが、リスク対応の側面から考えると、構造調整を積極的に行った効果が大きい。

不況で売上高が減少することは避けられないまでにしても、企業は利益だけは確保しなければならない。経済状況が悪ければ悪いほど企業はさらにベルトを引き締めるが、そのベルトの穴の一つ目は人件費の削減になる。

統計庁によれば、2015年8月まで常勤従業員5人以上の事業体の月平均賃金は325万ウォンで、2014年同期の315万ウォンと比べると2.9%増加している。8月までの平均物価上昇率0.6%を差し引いた実質賃金上昇率は2.3%だ。2014年の実質賃金上昇率である1.2%の2倍近い。

しかし、実際には2012年と2013年が各3.1%、2.6%を記録した実質賃金上昇率と比べると、2014年はあまりにも低い。

多くの国民が賃金上昇を実感できないのもこのためである。

チャン・ウォンソク 韓国「中央日報エコノミスト」記者
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