ハラミが足りない! 読み違えた解禁時期 米国産牛の規制緩和は期待どおりに進むか?

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 30カ月以下に緩和されれば、米国産牛肉の90%以上は日本に輸入できることになり、供給量は一気に拡大する。同時に値崩れが進むとの読みから米国の畜産業者が、生産を絞る動きが続出。日本の食肉卸も前年比1割程度在庫を減らしている状況だった。

ところが、諮問入りから半年以上経った現在も、食品安全委員会はリスク評価の議論を続けている。専門調査会のある委員は「各国のデータや先行研究など科学的知見を基に議論をしており、時間がかかっている」と説明する。

穀物高も痛手に

規制緩和が想定より遅れていることで、業界では「感覚的には供給が2割程度減った」(国内の大手食肉卸)。この影響から特に国内需要が大きいハラミやショートプレートの価格が一気に上昇した。

現在、双方とも価格はやや下落に転じてはいる。が、米国での生産調整や、飼料であるトウモロコシの価格が干ばつによって高騰していることなどから、米国牛の飼育頭数は現在、40年ぶりの低水準に落ち込んでいる。秋から冬にかけては例年、生産が縮むため、今後さらに日本向けの供給が減り、価格が再度ハネ上がる可能性も十分にある。

食品安全委員会は9月5日の専門調査会でリスク評価の最終案を取りまとめる予定だ。内容は30カ月以下に緩和してもリスクは低いと結論づけられる可能性が高い。

その後、10日の食品安全委員会でこれを審議。パブリックコメント募集などを経て、10月中旬にも厚労省へ正式に回答を出すとみられる。厚労省でもさまざまな手続きを経る必要があるが、今年12月から13年3月までに規制緩和が実施される線が濃厚だ。

こうした中、焼き肉業界からは「規制緩和まであと数カ月耐えるだけ」との声も聞こえてくる。近年、業界はBSEだけでなく、客から人気の高かったユッケやレバ刺しの規制強化に苦しめられてきただけに、米国産牛肉の規制緩和は久々の朗報。はたして期待どおり緩和は進むか。

(撮影:尾形文繁=週刊東洋経済2012年9月8日号)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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