世界最大級の保険会社が語る欧州危機 アクサグループCEO

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高齢化でも日本は順調 チャネル拡大を強化

──少子高齢化が保険市場の成長を阻むと日本国内ではいわれていますが、どう思われますか。

確かに、日本の人口動態は特殊かもしれないが、日本のアクサ生命保険は成長を続けている。これには二つ理由がある。一つは、高齢者のニーズ拡大のほうが人口減少のマイナス面より大きく、少子高齢化が進んでも成長が阻まれていない。二つ目は、お客様のニーズをよく理解し、そのうえで適切な商品セグメントを行うことができているからだ。

今回の来日は昨年の東日本大震災の直後以来だが、顕著な回復の兆しを見ることができてたいへん喜ばしく思っている。経済の回復ペースも非常に目を見張るものがあると思う。日本でのアクサの営業の進化にも満足している。商工会議所の会員である中小企業顧客をメインターゲットとしたCCI(商工会議所)チャネルが強く、業績も順調だ。

その他の営業チャネル、たとえば代理店チャネルやダイレクトチャネルも強化していく。サービスの品質を高め、営業ネットワークに対するサポートも強化していく。特に医療保障分野の商品開発では、社会的なニーズに着目して革新的な新商品を数多く出している。こういった要素を組み合わせ、今後さらに前向きな成果が出てくると期待している。

──日本でのM&Aの可能性は。

こういった質問にはお答えしていないが、M&Aの機会があれば、ビジネスメリットに応じて検討していく。M&Aに当たって重視するのは、対象になる会社の成長性、そして収益性、将来性。また、その会社を買収することによって、アクサグループとしてどのような付加価値をお客様に提供できるかも重要だ。

Henri de Castries
1954年生まれ。HEC経営大学、国立行政学院卒業後、80~89年フランス経済財務省に勤務。89年9月アクサグループ入社。2000年5月マネジメント・ボードチェアマン。10年4月から現職。

(聞き手:石川 正樹、撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年8月25日特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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