中学受験塾で成績が向上しないときに採る道 転塾?プロを活用?志望校合格逆転の方法

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もう一つ、プロの助けを借りるという選択肢もある。プロとは、家庭教師と個別指導塾だ。

いずれも、単にわからないところを教えてもらうためだけに利用するのではあまり意味がない。本来であれば塾の先生に質問すればいいだけの話であるからだ。

家庭教師や個別指導塾を利用する価値は、まさにトライアングルの調整にある。

本当にプロと呼べる家庭教師や個別指導塾講師なら、大手各塾の学習システムを熟知しており、塾の意図を保護者に噛み砕いて教えてくれて、毎日の家庭学習の具体的なやり方を指示してくれる。

塾の指導法とわが子に適した学習スタイルとの間にズレがあれば、それを調整する具体的な方法を提案してくれたりする。子供、親、塾のトライアングルの間に入って、学習サイクルがスムーズに回るように調整してくれるのだ。

子供にとっての先生である以前に、親にとってのアドバイザー、トレーナーであるということ。

転塾は、トライアングルそのものを一からつくり直す大作業。リスクも大きい。それに比べれば、プロの手を借りて、既存のトライアングルに微調整を加えるほうが、余計なエネルギーを使わなくていいと考えられる。

子供のことを思えば思うほど間違ってしまうのが親

塾と保護者の間のバランスばかり強調てきたが、根本的に親子間のバランスが良好でなければトライアングルが安定しないことは言うまでもない。

中学受験に潜む魔物は、親を追いつめることがある。追いつめられた親は、子供を追いつめる。親が不安から逃れたいがために、子供に消化しきれないほどの勉強をさせてしまうことがある。罵倒する言葉が止まらなくなってしまうことがある。

親は、子供のことを思えば思うほど、間違った方法で子供を守ろうとしてしまう生き物。だからこそ、塾という存在がある。集団塾だけではダメならば、個別指導塾や家庭教師の助けを得ることもできる。

複数の大人が見守ってくれているからこそ、子供は自らの将来を切り拓くための厳しい勉強にも耐えることができるのだ。子供の成長を見守るパートナーとしての塾を見つける方法は拙著『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾の選び方』に著した。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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