残念!人望がない上司は「ひと言」足りない

ANA上司の「すごい気づかい」ベスト3

その後、このチーフパーサーは、機内の別の席で少し寒そうにしているお客様を見つけました。コートをひざかけ代わりにしています。

チーフパーサーは、さっきの若手CAに「ねぇ、今度は24番のCのお客様が寒そうにしているから、毛布を持ってもう一回チャレンジしてきたら?」と言いました。チーフパーサーには、経験上「このお客様にだったら、9割ぐらいの確率で成功する」という確信がありました。

若手CAは、そのお客様のところへ行き、おそるおそる「毛布をお使いになりますか?」と尋ねました。「ありがとう。ちょうどかけるものがあるといいなって思っていたんです」と、お客様に言われました。

 

自分ではなく、後輩の成果にする

後輩が、失敗して落ち込んでいたり、スランプに陥っているとき、どんな小さなことでもいいので、「成功体験」をお膳立てする。これは、経験がある先輩だからこそできること。「これはおそらくうまくいくだろう」という場面で自分が行動して手柄にするのでなく、成功体験をさせてあげたい後輩に行動の機会を与えるのです。

自分がシュートをせずに、後輩のゴールをアシストする。 これも、先輩が後輩にしてあげられるANA流の気づかいです。

3、相手が急いでいたら、あえて「ゆっくりめ」に話す

作業時間が限られている。その期限が刻一刻と迫ってきた……。このような状況に陥ると、人は「早くやらねば」とイライラするものです。

「忙しい」は「心を亡くす」と書く、とよく言われますが、焦ってなにかをすると、普段はさほど苦もなくできるようなことができなくなったり、普段は踏んでいる手順を省いたりしてしまうものです。

航空業界では 「ハリーアップ・シンドローム」 と呼ばれる心の状態が問題視されています。時間に追われるあまり、注意力が散漫になったり、ストレスが溜まったりしている心の状態を言います。

フライトでの鉄則は安全第一。安全は、ほかのなにかと天秤にかけられるものではありません。しかし業界全体を見渡すと、定時運航を目指すあまり、ハリーアップ・シンドロームに陥ってしまうスタッフがいることも否めません。実際、航空機史上に残るような大事故のなかには、パイロットのハリーアップ・シンドロームが原因のひとつだったという結論に至ったものもあります。

パイロットも人間です。定時運航を確保しようとして焦ってしまうこともあります。それ自体は、約束を守ろうとする誠実な心の表れです。そこでANAの社員は、会話を通じて焦っている人の行動を落ち着けるよう気をつけています。

ベテラン機長の一人は、操縦室で隣に座るパイロットが焦っていると感じられたとき、わざとゆっくり話すよう心がけていると言います。

例えば、副操縦士のAさんが、チェック項目の点検をし合うとき、焦っているようで、口調が早くなっているとします。そのようなとき、隣にいる機長Bさんは、「……(間2〜3秒)。了解……(間2〜3秒)。ログ・アンド・ドキュメント……(間2〜3秒)」といった具合に、わざと少し間を置いて返事をしたり、話す速度をゆっくりめにしたりするのです。

少しわざとらしいくらいがちょうどいい。その数分で、焦っていたパイロットは「ちょっと急ぎすぎていたな」と我に返ります。

焦っている後輩がいたら、ゆっくりめに話しかけて、相手のペースを元に戻すアシストをしてみてはいかがでしょうか。こうした”ちょっとした気づかい”は序々に広がり、仕事の成果につながっていくのだと思います。

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