超一流でも「ものづくり」だけでは稼げない デザインとマーケティングの重要な役割

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また、takramの田川氏は、「ビジネスとテクノロジーとデザインが、上流から一緒に仕事をすべき」、と主張しつつ、「ビジネス感覚を持ち、テクノロジーを理解する、有能なデザイナーに出会えるかどうかが、プロジェクトの成功を大きく左右する」と指摘しています。

グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏は、「経営者のレベルでデザイン、マーケティングの重要性を認識した人が増えることがまず重要。その一方で、デザイナーやマーケターにも経営感覚や事業の全体感をもってほしい。彼らは日本にはまだまだ少ないので、それを増やすことが必要。」と語ります。

デザイン、マーケティングでスタートアップを変える

以上のような、さまざまな課題はあるものの、デザインとマーケティングでスタートアップを変えるというHEART CATCH 2015の挑戦的な実験は、成果を上げたと思います。プログラムの総括的なアドバイザーである孫泰蔵氏は、次のように感想を述べています。

「参加したスタートアップがめちゃくちゃ勉強になったと言っていたし、メンターも自分たちこそ勉強になったと言っていたし、インターンやオーディエンスもすごい勉強なりましたって言うし、僕自身も勉強になっていて、とにかく参加したみんなが口を揃えて勉強になったと言っていた。コミュニティの意外性がすごく面白い化学反応を起していた。」

スタートアップにとっては、デザインは少し遠い存在かもしれません。技術力のある企業は、いいものを作れば売れると考えてマーケティングに頼らないという風潮もあります。

しかし、「稼げる企業」が増えるためには、デザイン、マーケティングを経営や技術と融合させる企業が増えることが必要であると、このイベントを通じて改めて感じました。スタートアップ支援の実施においても、この観点を再度考えたいと思っています。

経済産業省のスタートアップ支援については、METI Journal最新号のベンチャー特集をご覧ください

 

石井 芳明 経済産業省 新規事業調整官

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いしい よしあき / Yoshiaki Ishii

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官。1965年生まれ。1987年、岡山大学法学部法学科卒業。1996年、カリフォルニア大学バークレー校 留学(公共政策 単位履修生)。2000年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。2012年、早稲田大学大学院商学研究科卒業(商学博士)。1987年、通商産業省(現・経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。1997年、同省工業技術院国際研究協力課、2000年、中小企業庁経営支援課、2003年、経済産業政策局産業組織課、2006年、中小企業基盤整備機構資金支援課、2007年、同ファンド企画課、2008年、大田区産業経済部産業振興課課長、2011年、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、2012年から現職。

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