北越紀州が大王製紙社長らに巨額賠償請求

資本関係めぐる対立からついに裁判ざたに

折しも製紙業界では、少子高齢化とデジタル化に伴う印刷用紙など洋紙の需要減や、円安に伴う原燃料高により各社の業績が停滞。業界首位の王子ホールディングス、2位の日本製紙の2強はもちろん、中下位メーカーの間でも生き残りに向けて、2強に続く「第三極」形成も含めた再編機運が高まっていた。洋紙と板紙を併営する総合製紙メーカーとしては2強に次ぐ大王と、財務体質の強さでは業界内で群を抜く北越紀州は、そうした業界再編の主導権争いでも齟齬が目立つようになった。

そこに起きたのが、大王が今回発表したCB発行と、将来の希薄化の可能性を嫌った大王株価の下落だ。

CB発行めぐり食い違う、両社の主張と思惑

大王製紙はCB発行の理由を三島工場などの設備投資のため、としている

大王側はCB発行の目的として、好調な紙おむつを中心とするホーム&パーソナルケア事業や、板紙など段ボール事業の生産設備増強、主力の三島・可児工場の競争力強化を狙った設備投資、普通社債の償還資金への一部充当などを掲げる。「基本的には、本業を強化することで中長期的に企業価値を高めていこうというのが、今回のCB発行の目的」(同社)としている。

対する北越紀州は、CB発行決議により9月2日以降の大王の株価が大幅急落したことを受け、社長同士の面談を要請。CB発行の延期や見直し、CBに代替するような資金調達について最大限協力する旨も伝えたという。にもかかわらず、発行を強行したことに対しては、「取締役の善管注意義務違反に該当し、株主に対する受託者責任や株主との対話を定めたコーポレートガバナンスコードの原則にも反する」と反発。CB発行に反対した近藤保之・社外取締役(北越紀州執行役員を兼任)を除く大王の取締役13人を、株価下落に伴う損害賠償請求訴訟の対象にしている。

ただ、北越紀州がそもそも2012年に創業家から大王の株式を取得した当時の株価は400~500円程度。北越紀州は14年6月には大王が実施した第三者割当増資を引き受けたが、このときの価格も1株につき945円。大王の株価が急落したとはいえ、北越紀州による購入価格との比較では、今のところ含み益が出ている状況ともいえる。

現在、不正会計に伴う株価下落に対する損害賠償請求訴訟が提起されている東芝の場合、原告である個人株主の損害を算出するための起算点は、各株主の「東芝株の購入価格」に置かれている。一方、北越紀州は今回、購入価格との比較で損害金額を算出したわけでなく、CB発行決議直前の9月1日から過去1年間の株価推移を基に、TOPIXや同業他社の株価推移も加味して弾き出したモデル曲線と、9月2~16日につけた実際の大王株価との差額を損害金額としている。

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