北越紀州が大王製紙社長らに巨額賠償請求 資本関係めぐる対立からついに裁判ざたに

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購入価格との単純比較では含み益があるにしても、「大王の株式取得後は、技術提携をはじめとした事業上のシナジー効果を発揮させたり、持分会社でもある大王のガバナンス向上に寄与することで、その株式価値を上げてきた。個人投資家とは立場が違い、購入価格との比較で損害を算出するわけにはいかない」というのが北越紀州の主張だ。

「日本では初めて」(同社)となる損害賠償請求訴訟だけに、北越紀州の主張する損害額88億円がそのまま認められるかどうかは、裁判の推移を見守るしかない。

ついに「裁判ざた」で亀裂は決定的

北越紀州との訴訟はさておき、大王にとって、CB発行をきっかけに大幅下落した株価をいかに早急に復元するかが、今後の喫緊の経営課題であることは間違いない。

大王の株価はCB発行後も回復が鈍く、9月下旬~10月上旬にかけては、1000円大台を割り込む場面も見られた。今回の大王経営陣に対する損害賠償請求訴訟の提起により、大王の株価はますます浮上のきっかけを見出しにくくなっている。

業績面を見ても、大王の今2015年度は営業利益では増益が見込まれるものの、営業外収入として前期計上した福島県からの補助金(いわき工場増設に伴う)が消え、純利益ベースでは大幅減益の格好となる。結果として1株当たり純利益は、前2014年度の93円に対し、今2015年度は今のところ68円程度に落ち込む見通しだ。CB調達資金による増産投資などが「本業」の増益につながるのを何年も待つ余裕はなく、足元で進行中の中期事業計画でも掲げている洋紙の構造転換や、徹底したコストダウン、人材活用の効率化などをさらに加速させる必要がある。

いずれにしても、今回の北越紀州による大王経営陣への損害賠償請求訴訟の提起が、資本関係のある両社の亀裂を決定的にすることは確かだ。これまで北越紀州の岸本社長がことあるごとに大王・佐光社長に求めてきた「株主との対話」も、原告・被告の関係となった以上、困難になったものとみられる。

かつて業界内でささやかれた、大王・北越紀州、さらには三菱製紙などを糾合した、製紙「第三極」形成による再編思惑も、大きく後退せざるをえない。両社の関係がこう着状態の中で、北越紀州、大王とも次の一手を繰り出しにくい局面が続く。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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