「イソジン」が、カバくんに別れを告げた理由 明治、看板商品を襲うライセンス解消の衝撃
明治側は長期的な提携関係の維持を望んでいたが、2015年3月に、ムンディファーマからイソジンブランドのライセンス契約解消の通知が届く。8月には明治がそれを了承する形で、契約解消に伴う合意書をムンディと締結した。
ムンディが一見唐突に契約解消を求めてきたのには、理由がある。同社は慢性腰痛やがんに伴う痛みの治療薬などを欧米中心に販売してきたが昨年から日本を重点地域に定め、積極投資を開始している。
その一環で、日本市場に浸透したイソジンブランドの自社展開を決断した。
50年超の蜜月関係に打たれた終止符
契約解消の合意に基づき、ムンディは来年3月末に「イソジンうがい薬」などの一般用医薬品、8月初めに「イソジンガーグル液」などの医療用医薬品の製造販売承認を明治から引き継ぐ。
単にこれまであった製品を引き継ぐだけでなく、今後は新製品の追加も視野に入れる。
ムンディは殺菌成分ポビドンヨードを含むイソジン製品を、海外30カ国以上で「Betadine(ベタダイン)」ブランドで販売している。
海外では日本にまだないフェミニンケア用や、きずスプレーなど幅広い製品を販売しており、イソジンブランドで日本に投入することも検討する。
ムンディは国内の自社の販路がまだ充実していないため、来年4月からイソジン製品を販売するパートナーとして、塩野義製薬を選んだ。
塩野義はムンディと技術提携して、1989年に国内初のがんの麻薬性鎮痛薬「MSコンチン」、2003年にもう一つのがんの麻薬性鎮痛薬「オキシコンチン」を開発・発売。ムンディとのかかわりは長い。
塩野義にとって、うがい薬などのイソジン製品は、強みの一つである感染症領域のラインナップ増強になる。
塩野義は4月に一般用医薬品事業を「シオノギヘルスケア」として分社化し、さらなる強化を図ろうとしていたところ。すでに地位が確立したイソジンブランドは強力な援軍だろう。
対する明治は来年4月、今のイソジン製品と中身が完全に同一で、ブランド名だけを変えた製品を発売する。その名も「明治うがい薬」。
契約解消後もイソジン商標以外の成分、容器・包材などは、引き続き明治も使用でき、すでに製造販売承認を得ている。
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