「ビッグデータ」でさらに進化するO2Oの世界《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

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全世界で9億人以上の利用者を持つ世界最大ソーシャルメディアのFacebookはどうか。

9億人が時々刻々と投稿するプライベートなデータの洪水は、O2Oビジネス加速の背景にあるだろう。Facebookは実名制であり、リアルの人間関係をネットの世界に持ち込んでいる。誰かが投稿したお気に入りのレストランや商品などのコメントは、友人・知人にとっては参考になる価値あるデータだ。Facebookクーポン(Facebook Offers)は、友人から友人へ共有・拡散される。今後さらに発展すると、友人が多い利用者には特典を提供するO2Oビジネスも考えられる。

ビッグデータを最重要課題と位置づけるリアル企業

次にリアル企業。リアル企業もビッグデータの価値を無視できない。今や、ビッグデータの活用はIT業界を超えた重要課題となっている。

リアル企業がO2Oに取り組む目的は、まずは、リアル店舗への来店促進だ。グループ企業であれば各店舗間の相互送客も目的となる。最終的な目的は、継続して来店してくれる優良顧客を育てることだ。

顧客ごとの購買履歴を分析し、個人に最適化したクーポン配信サービスに取り組み始めた企業が日本マクドナルド・ホールディングスだ。購買の特徴に合わせて内容の異なる割引クーポンを配信。たとえば、週末コーヒーを頻繁に購入する顧客に対しては、週末のコーヒー無料券を配信するなど、だ。

ソーシャルメディアを駆使しO2O分野の先頭を走るローソン。

ローソンでは、CRM推進部などを中心に、ビッグデータの活用に取り組む。ローソンの加盟する会員共通ポイント「Ponta」の会員数は約4600万人、提携企業は50社以上。ローソンの売り上げの約4割が会員による購買だという(会員数、提携企業数、売上比率は12年7月時点)。
 
 Pontaのデータから年齢・性別など正確な属性ごとの購買情報がわかる。特定の顧客の来店頻度や、どの商品を一緒に購入するか、1回買った商品をその後継続して購入しているか、なども追える。再来店につながるためのより効果的な販促施策が期待できる。CRM戦略の基盤となるデータともなる。今後は提携企業との連携強化もしていく考えだ。ソーシャルメディアのような外部メディアとのID連携も将来的には検討するという。

日本最大の小売りグループ、セブン&アイ・ホールディングスはグループ総力を挙げてネットとリアルの融合に取り組む。将来的に、ネットとリアルの会員関連情報の統合ができれば、顧客のネット利用履歴、来店履歴、購買履歴といった膨大なデータが貯まる。顧客ごとの細かい情報がグループ横断で分析できるようになる。
 
 コンビニで頻繁に買い物をするある顧客が、何に興味があり、何を買いに百貨店やスーパーに行き、いつファミレスで食事をするのかといったように。販促や商品開発はもちろんリアル店舗の開発にも生かせる重要なデータとなると見ている。

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