「ビッグデータ」でさらに進化するO2Oの世界《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
世界最大のネット検索企業 Google。12年6月、O2Oの観点から見逃せないサービスを発表した。Android端末の次期 OS「Android 4.1」の新機能の1つ、パーソナルアシスタント機能「Google Now」だ。利用者の現在地やスケジュール情報、検索履歴などのデータから、利用者がそのとき必要とする情報を予測して、自動的に先回りしスマートフォンやタブレット端末に表示してくれる。
驚くべきは、利用者はもはや“自ら検索する必要すらない”ということだ。
たとえば、移動しているときに周辺にあるレストランや興味のありそうな場所などを自動的に表示しておすすめしてくれる。駅に行くと、次の電車の到着時間を教えてくれる。オンラインからオフラインへの誘導が実にシームレスに実現される。
伏線はあった。
新機能の発表に先立つ12年3月、Googleはプライバシーポリシーを変更した。これまでサービス別だったプライバシーポリシーを1つに統合。検索履歴、端末情報、メール、スケジュール、ソーシャルメディアなどGoogleの各サービスの利用者の情報を、同一利用者の情報としてまとめ、サービス横断で共有できるようにした。検索・広告などがより利用者個人に最適化される。利用者にぴったりの役に立つ広告や要求する情報を正確に推測して素早く提供できるようになる、という。
今やGoogleの収益の主力を担うネット広告「アドワーズ」もリアル領域に進出。従来は、クライアント先の小売企業はEコマースが中心だった。それが、11年くらいからはスマートフォンの急速な普及を背景に、リアル店舗への来店、購入を促すO2Oの流れがアドワーズにも増えているという。
広告に膨大なデータを有効に活用できれば、利用者、小売企業双方にとって、かつてない価値を提供できる。広告価値が上がれば、Googleの収益も上がる。
Yahoo! JAPAN は、O2Oビジネスをプロジェクト化し、本格的に力を入れて取り組む。Yahoo! JAPANが目指すO2Oビジネスモデルは、自社の主力収益であるネット広告事業をリアルの領域にも広げることだ。リアル店舗を認知させ送客し消費を促すことで課金する。
実現すると、これまでネット上で収集していた利用者の年齢・性別などの属性情報や、ネット利用履歴、検索キーワードなどのデータに加えて、リアル店舗の来店履歴、購買情報にまでデータの収集領域が広がることになる。一層膨大となるデータを活用できればより広告・販促情報が個人に最適化されるため、購買につながりやすい。リアル店舗にとっては、効果的な集客や売り上げが期待できる。
O2Oビジネスでおなじみの割引クーポンなども、顧客ごとに差別化できるようになる。来店5回目の顧客にだけ特典クーポンを提供するなど、細かな顧客対応が可能になるのだ。