原油相場は2016年1月が重要な転換点になる イエレンFRB議長と日銀総裁の会見に要注目

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日銀短観では、大企業製造業の現状判断DIがプラス12と9月短観から横ばい。非製造業も25と同じく横ばいでした。製造業・非製造業ともに悪化が見込まれていたことを考えると、まずまずの着地といえます。原油価格の下落を除いた物価が緩やかに上昇していることで、追加金融緩和への期待度合いは低下した可能性が高いといえます。

一方、企業業績は好調で設備投資計画も強気なのですが、先行き見通しに関しては製造業がプラス7に悪化、非製造業もプラス18と悪化を見込んでおり、依然として企業の慎重姿勢は変わりません。日銀短観でもっとも気になったのは、企業の想定為替レートです。6月の短観での1ドル115.62円から9月の短観では117.39円、今回は119円台とさらに円安方向に大きく修正されました。足元のドル円相場の実勢レートは120円台です。

想定レートと実勢レートが近くなったことで、円安メリットの伸びしろが思惑的に織り込まれやすく、企業業績への不透明感につながりかねません。相関関係がいったん薄れていた株とドル円相場が再び連動し始める可能性が高いということ。そういった意味でも、再び実勢レートが円安方向に進んでいけば、企業業績への上方修正期待から日本株は買われるでしょうが、逆に円高方向なら株売りに敏感に反応することが想定できます。

最後に底入れが近い原油相場のお話を少ししたいと思います。NY原油先物は下落が続き、8月に付けた安値の1バレル=37.75ドルを下回りました。4日に開かれたOPEC総会では原油価格維持のための減産が見送られ、原油の供給過剰感が一段と強まっています。14日には一時34ドル台まで下落しました。8月安値を起点としたリバウンド相場は一過性にとどまり、2013年8月高値(112.24ドル)を起点に高値と安値を切り下げる下落波動は依然として続いていることを確認した状況にあるわけです。

左右対称の期間で高値と安値を形成

どこまで下がるのでしょうか。ヒントは過去の値幅にあるとみています。まず考えられるのは、2011年5月高値(114.83ドル)~2011年10月安値(74.95ドル)まで下落した値幅39.88ドルを、2011年10月安値から下げた35.07ドル前後の水準。2008年12月に付けた安値(32.40ドル)を前に下げ止まるかもしれない主要なフシ目と予想できます。

しかし、すでにそこまで下げており、これ以上下げるようだと、2008年12月安値~2011年5月高値まで上昇した値幅82.43ドルを、2013年8月高値から同じ値幅だけ下げたと仮定した29.81ドル前後まで下落余地が拡大するとみています。

では底入れは、いつでしょうか?

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