日本株2万円の前に無視できない3つの視点 今こそ複眼視を持って需給調整に備えよう
前回の本稿で『日本株の出遅れ修正が続く』とお伝えした。ただ、2万円手前まで値を戻す場面があったが、やや上値の重さも感じられる。そこで需給面からのポイントを探ってみた。
フシ目よりも押し目に目配せが必要
『2014年末値の日経平均株価は?』に即答できれば運用者として合格だろう。答えは1万7450円。足元は年初来14%上昇している。平成以降の上昇年の平均19.9%を当てはめると2万0922円、これは15年6月高値と8月高値とほぼ重なる。特に今年前半の日本株は『よく上がっていた』といえる。年末にかけて市場関係者は2万円乗せに注目しているが、絶対リターンを追うグローバル目線の投資家にはあまり意味を成さない。一本調子で戻り歩調を強めているなか、以下の3つのポイントをみると、今後はフシ目よりも下落時の押し目に目配せが必要かもしれない。
その1:時価総額では500~600兆円の往来
過去1年の価格帯別売買代金をみると、1万7500円~2万0500円が真空地帯となっている。これは、①昨秋の急騰(日銀追加緩和)、②今夏の急落(中国株安)、③足元のリバウンドとおおよそ3000円幅の騰落を3回繰り返していることの証左だ。東証1部時価総額では約500~600兆円(日経平均株価では1万7000~2万円台)を往来し、投資家は約100兆円の浮沈に右往左往した1年といえる。
投資主体別売買動向を振り返ると、8月末以降に9週連続で『信託銀行の買い越し(計1.45兆円)』が下値を固め、10月半ば以降に4週連続で『海外投資家の買い越し(計0.71兆円)』が相場全体を押し上げた。ただ、足元は商いも縮小気味。今夏に投機売りした海外勢とみられるショートカバー(損失限定の買い戻し)に過ぎないとの見方も否めない。バリュエーション面での割安感も薄まり、決算発表と循環物色の一巡感が台頭するなか、東証1部時価総額が再び600兆円近くに達している。
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