日本株2万円の前に無視できない3つの視点 今こそ複眼視を持って需給調整に備えよう

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その2:夏場のマド埋め&3つ目のマドあけ

連休明けの日経平均株価は1万9924円、小幅ながら5日続伸。物色の裾野も拡がり、騰落レシオが120~140%前後で高止まりしている(前回の記事参照)。日足チャート(ローソク足)をみると、夏場(8月20~21日)の下方マド(2万0033円)を埋めようと、足元は戻り高値を試している。

一方、仮に今後も上放れた場合、戻り相場における3つ目のマドをあけることになる。これはエグゾースション・ギャップ(消耗のマド)といわれ、上げ一服を示唆する。チャート面から『夏場の窓埋め』と『3つ目のマドあけ』を同時に達成したのち、いったん調整に転じることも想定しておきたい。

その3:信用期日が接近、上値では個人の売りも

日経平均株価の年初来高値は6月24日(2万0868円)。今後は信用取引の高値期日(通常6カ月)が12月第4週(12月21~25日)に到来する。また長期投資家の損益分岐点ともいえる200日線は1万9374円(11月24日時点)。 2万円を上回ると、信用取引を中心とした個人の『戻り売り』や長期投資家の『利益確定売り』が上値を押さえそうだ。

米年末商戦と国内政策期待が下支え

先週末(11月20日)までの日経平均株価は5週連続高となっているものの、足元2週間での上げ幅は200円程度にとどまる。11月の売買代金も第1週の郵政フィーバーを除けば、1日当たり2兆円台前半。例年12月後半は、海外投資家がクリスマス休暇で売買を手控えるため、商いはしぼむ傾向にある。米利上げを織り込みながら上値を追うにはエネルギー不足だろう。

26日は感謝祭で米国休場となるものの、27日のブラックフライデーや30日のサイバーマンデー等から米年末商戦の行方に注目が集まろう。国内では27日に10月全国消費者物価指数(CPI)と家計調査が公表される。日本株が調整しても、金融緩和の持続や補正予算等の政策期待が下支えしそうだ。ただ日本株を需給面からみると、ここからの上値は限られそう。年末にかけては、株価よりも時価総額、マド埋めよりもマドあけ、信用の高値期日迎えと調整に備えた複眼視が必要と思われる。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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