円高や関税の逆風で際立つトヨタの"強さ"……「われわれの事業構造からすればジタバタしなきゃいけない状況にはない」

トランプ関税による企業業績への影響が懸念される中、トヨタ自動車が5月8日、2026年3月期の営業利益を前期比20.8%減の3兆8000億円とする予想を発表した。
2025年3月期の営業利益4兆7955億円からは1兆円の減益となるが、減益要因でもっとも大きいのは7450億円と見込む為替変動の影響だ。前期実績、1ドル=153円、1ユーロ164円に対して、今期は1ドル=145円、1ユーロ=160円を想定しているため。トヨタは1ドル=1円の円高が、約500億円の減益要因となる。
このほか減益要因として資材価格の影響(3500億円)、人への投資(2450億円)、成長投資(2250億円)を見込んでいる。注目される関税影響は、1800億円の減益要因で織り込んでいる。
他方、原価改善(2500億円)、販売台数増や高付加価値車種の増加(2600億円)、バリューチェーン収益と呼んでいる中古車や用品事業による収益(1500億円)などが増益要因として働くとみている。それらを差し引くと前述のように1兆円の減益になる計算だ。
関税影響は2カ月分のみ予想に織り込み
ただし、関税影響で織り込んだ1800億円は4~5月分のみの数字。単純計算すれば、年間では1兆0800億円に膨れ上がることになる。
では、自動車の追加関税が現在の枠組みで続いた場合、通期の営業利益がさらに9000億円下振れて3兆円を割り込むかというと、おそらくその可能性は低い。
関税影響の緩和策について、佐藤恒治社長は「今いちばん大事なのはとにかく軸をぶらさずに、ジタバタせずしっかりと地に足をつけてやれることをやっていくことだ」と述べるにとどめる。宮崎洋一副社長も「短期で関税があるから値上げをするとか場当たり的な対応はとらない」と当面は静観する姿勢を示した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら